著者
畔上 一代 百瀬 ちどり 丸山 順子 村山 くみ 清沢 京子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.30, pp.29-34, 2020-03-31

本研究は、介護保険施設職員の就労状況を多面的に調査し、福祉・介護分野の就労環境の見直しに関する示唆を得ることを目的とした。A 県内の介護保険施設3 ヶ所の直接利用者と関わる職員の就労状況や生活状況について、バーンアウト尺度、主観的健康感、生活状況と自己評価式うつ尺度(SDS)及びソーシャルサポート尺度を用いて調査した。現在の職場に対する継続意向により、「継続群」「非継続群」の2 群に分けて分析した結果、以下4 点が明らかになった。①職場の人的環境としての人間関係の中でも上司からのサポート不足は、就労継続意向に影響を及ぼす要因の一つであるといえる。②継続群、非継続群ともに抑うつ傾向の得点は高く、介護保険施設の職員は慢性的に疲弊しており、人員増加は急務である。特に、上司となる人材育成、すなわち、介護現場で介護人材を育てる職員の育成も必要であるといえる。
著者
齋藤 真木 合津 千香 丸山 順子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.31, pp.49-61, 2021-03

令和2 年度の介護福祉実習は、コロナ禍により学内実習とせざるを得なくなった。本学では、介護福祉学科2 年生の最後の実習である「介護総合実習」を学内実施し、多くの学びを得た。本稿では、その実習内容を整理し、授業終了時の学生と教員へのアンケート結果に基づき、学内実習の評価と課題について考察した。その結果として(1)実習目標の達成のためには、①外部講師などの効果的な人材の活用 ②系統的な実習プログラムを組み立てて実施すること ③教員の連携が非常に有効である。(2)系統的な実習プログラムに対して課題を短期間で完結し、評価が見え、学び合いや主体的にとりくめるしくみを工夫することで学生の達成感や満足感が高められる。教員は、このような学生の力を引き出す工夫を今後の実習指導や授業に活用していく必要がある。(3)学内実習においてロールプレイングやシミュレーション等模擬的な体験をとおして知識として学ぶことにとどまるのはやむを得ない。しかし、学内実習により単位取得した卒業生が、コロナ禍の介護現場で働くためには、丁寧な現場での新人教育が配慮されるべきである。(4)新カリキュラム導入に際して、実習施設でも学内の実習前指導の中でも「多職種協働」と「地域」について全員が学べる配慮が必要である。という4点が示唆された。
著者
齋藤 真木 丸山 順子 垣内 いづみ 清沢 京子 五十嵐 佳寿美 牛山 陽介
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.31, pp.39-47, 2021-03

本調査の目的は、A 短期大学生269 名に対し、身体測定・血液検査・体力測定・生活習慣調査を実施することにより、多角的に生活習慣の実際を明らかにすることと課題を抽出することである。その結果、①個人差はあるものの、BMI値は全国平均内であった。しかし、1 年間で3kg 以上体重の増減があった学生は、26.7%あった。②食生活習慣の乱れとして、朝食の欠食・一人暮らし・遠方からの通学・夕食の夜食化等があげられた。また、健康的な食習慣への意識も薄かった。③体力においては、握力・上体起こし・長座体前屈の測定の中で、上体起こし・長座体前屈が全国平均を下回った。④運動習慣において、「日常生活において歩行又は同等の身体運動を1 日1 時間以上実施しているもの」は、全体の36.8%であり、日常生活で動悸・息切れがする学生は、全体の16.7%であり、日常生活において運動不足であった。⑤睡眠時間は、全国平均ではあるが、日常的に睡眠が十分とれていない(44.8%)・疲れがとれない(61.6%)と感じている学生が多い。十分に休養がとれていないうえに、精神的・心理的ストレスを抱え疲労感が抜けない状態であった。以上の結果より課題として、生活習慣について学生全体に入学初期から関わり、健康教育をする必要がある。身体測定・血液検査等により、少数ではあるが、要注意な状態の学生がいる。個別相談や指導の体制作りも課題である。