著者
齋藤 真木 合津 千香 丸山 順子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.31, pp.49-61, 2021-03

令和2 年度の介護福祉実習は、コロナ禍により学内実習とせざるを得なくなった。本学では、介護福祉学科2 年生の最後の実習である「介護総合実習」を学内実施し、多くの学びを得た。本稿では、その実習内容を整理し、授業終了時の学生と教員へのアンケート結果に基づき、学内実習の評価と課題について考察した。その結果として(1)実習目標の達成のためには、①外部講師などの効果的な人材の活用 ②系統的な実習プログラムを組み立てて実施すること ③教員の連携が非常に有効である。(2)系統的な実習プログラムに対して課題を短期間で完結し、評価が見え、学び合いや主体的にとりくめるしくみを工夫することで学生の達成感や満足感が高められる。教員は、このような学生の力を引き出す工夫を今後の実習指導や授業に活用していく必要がある。(3)学内実習においてロールプレイングやシミュレーション等模擬的な体験をとおして知識として学ぶことにとどまるのはやむを得ない。しかし、学内実習により単位取得した卒業生が、コロナ禍の介護現場で働くためには、丁寧な現場での新人教育が配慮されるべきである。(4)新カリキュラム導入に際して、実習施設でも学内の実習前指導の中でも「多職種協働」と「地域」について全員が学べる配慮が必要である。という4点が示唆された。