著者
大野 和男
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.19, pp.3-14, 2010-03

本研究では,幼稚園児が入園し,年中児になってクラス替えに至る過程を検討した。クラス担任保育者に各学期末に面接を行い,クラスの様子と,子どもごとの様子について尋ねた。その結果,入園時の方がクラス替え時よりもクラスになじみにくい子どもが多かった。クラス替え時には,担任が替わった場合の方が新しいクラスになじみにくい子どもが多かった。新しいクラスになじんでいくと,新しいクラスの友だちとの関係が中心となることから,幼稚園生活においてクラスの重要性が示唆された。また,保育者にとって,生活習慣の確立や幼稚園に楽しく来ることが前提であり,その上で子ども同士の関わりが成り立つと考えられているようであった。さらに,クラスの中のリーダー的存在の子どもには,クラスを引っ張っていくことも願っていることが推測された。以上のことから,クラスになじむことには,担任保育者の存在,友だちの存在,そして本人の気質が関係することが示唆された。
著者
杉浦 惠子 横山 芳子
出版者
松本短期大学 紀要委員会
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.25, pp.73-78, 2016-03

妊婦の栄養管理は、出産する児の体重管理に大きく影響するだけでなく、低栄養傾向は、胎児の生活習慣病素因を形成する影響もあるため重要である。そのため非妊娠時BMI に基づいた推奨体重の保健指導が行われている。そこで本研究では、妊娠時の体重増加に影響を与えた要因を検討する。 A市の乳児4 か月健診を2013 年1 月~ 6 月に受診した児の母親に、無記名自記式質問紙調査を実施した。質問内容は母親の年齢、身長、出生児の順位、出産週数、児の出生時体重、妊娠中の体重増加に関してである。 研究対象者の平均年齢は31.9 ± 4.6 歳、非妊娠時BMI は、18.5 未満86 名(22.3%)、18.5 ~ 25 未満278名(72.2%)、25 以上21 名(5.5%)で、出産時までの平均体重増加量は9.9 ± 3.7kg であった。医療従事者から体重の指導あり214 名(55.2%)、指導なし174 名(44.8%)と約半々であり、全員に推奨体重・適正体重が周知されているわけではなかった。周囲の人から体重に関して言われたことがある105 名(27.1%)、言われたことがない279 名(71.9%)と言われない者が多かった。言われた相手は実母41 名、友人24 名、夫23 名、義母14 名の順であった。 児の出生時体重の平均は3,038 ± 366g であった。2,500g 未満の児の母の体重増加量は7.7 ± 4.2kg と、2,500g 以上の児の母の体重増加量10.0 ± 3.6kg より有意に少なかった。また、母のBMI とは有意差はなく、推奨体重と母自身の理想体重増加量との適否で有意差がみられた(p <0.05)。 妊婦に最も影響を与える医療従事者による適正体重の指導が重要である。また、周囲の言葉によっても、2割近い人が体重増加に影響を受けたとしているため、適正体重に関する知識についてのポピュレーションアプローチが必要である
著者
隣谷 正範 大谷 誠英 川上 ゆかり 牧田 和美 丸山 博美 黒江 美幸 美谷島 いく子
出版者
松本短期大学 紀要委員会
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.25, pp.13-21, 2016-03

This study focused on the awareness of guardians during participation in childcare and classroom visits at childcare centers. Through extraction and analysis of data on awareness, the characteristics of each activity were identified. Study 1 used a questionnaire prepared from the results of a pilot study to investigate if the guardian's awareness was affected by the child's gender, age, or presence/absence of siblings. Study 2 focused on awareness during participation in childcare at X kindergarten and classroom visits at Z kindergarten. Based on the characteristics identified from free descriptions, etc., the nature of awareness obtained from those activities was summarized.Study 1 indicated that both gender and the presence/absence of siblings influenced the awareness of guardians. Study 2 employed the KH Coder research method and key words were identified from the original descriptions. It showed that the awareness of guardians was highly comparable during both activities and a certain level of homogeneity was identified.
著者
隣谷 正範
出版者
松本短期大学 紀要委員会.
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.24, pp.3-10, 2015-03

This study focused attention on children's cultural assets and facility training during Childcare Practical Training I. Based on free descriptive answers concerning" psychological " and " behavioral " changes before and after conducting activities using children's cultural assets, the influence (beneficial effects) of introducing such activities into practical training at challenged support facilities was assessed from the aspect of user understanding. Analysis using KH Coder revealed that the relative frequency of" words expressing user figures " and" words expressing proactive engagement with users (including methods of development) " related to psychological changes , as well as" words expressing proactive engagement with users (including methods of development)" related to behavioral changes, was significantly higher for the challenged support facility group than the child welfare facility group. When these results were analyzed using a co-recurrence network, the expressions" a viewpoint that users should receive individual care,""scene setting," and "working on" were detected as keywords. Based on these points, it may be argued that conducting activities using children's cultural assets at challenged support facilities had the following influences (beneficial effects) on childcare trainees. (1) They could see the features of users through the activities, resulting in alteration of their impressions about them, and (2) after conducting activities , they could work with the users while considering their condition and other factors.
著者
福田 明 上延 麻耶
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.20, pp.53-59, 2011-03

本研究の目的は,介護福祉士が仕事上「役立つ」と感じる家政学概論・実習における住生活の内容把握を行い,介護福祉士養成教育に必要な家政学を検討する基礎資料とすることである.長野県内の介護老人福祉施設と介護老人保健施設で働く養成校卒の介護福祉士550人を対象に,自記式質問票調査を実施した(回収率50.4%).調査では,旧カリキュラムにおける家政学概論・実習のうち「住生活」分野について,それぞれ現在の仕事に「役立つ」(4点)~「役立たない」(1点)の4段階で評価してもらった.「概論」では,①全15項目のうち12項目(80%)の平均値が3以上,②平均値3.5以上の上位2項目が事故防止(3.58)とバリアフリーへの対応(3.56),③平均値3未満の下位項目が台所(2.84),営繕(2.95),住居の役割と機能(2.99)となった.「実習」では,①全12項目のうち9項目(75%)の平均値が3以上,②平均値が最も高かった上位2項目が室温と湿度(ともに3.48),③平均値3未満の下位項目がガス及び電気器具等の管理(2.40),水回り(2.62),ゴミ処理(2.63)となった.本研究からは,介護福祉士の多くが,概論・実習を問わず,住生活について仕事上「役立つ」と認識している傾向にあることが明らかとなった.新カリキュラム導入で全科目に占める家政学の割合が減少したとしても,事故防止や室内環境等,住生活に関するいくつかの内容について,その不足分を他科目で補足または強化していく必要性が示唆された.
著者
赤沢 昌子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.101-109, 2007-03

介護学生の初期介護実習後の自己変化またそのことを自己覚知しているかを明らかにし、自己覚知の有無により自己理解に差があるかを検討した。介護学生1年98名を対象に自己覚知用紙、自己理解チェックシート、プロフィール表を用い初期介護実習終了1週間内に質問紙調査を行った。その結果、ほとんどの学生は初期介護実習において自己変化しており、そのことを自己覚知していた。自己変化に影響を与えたことは「利用者」「施設職員」からの「態度」「行動」であった。また、自己覚知の有無によって自己理解には有意な差がなかったが、自己理解の10領域にはそれぞれ関係があり、影響を及ぼしあっていた。
著者
津田 右子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.229-236, 2007-03

看護は患者-看護師の信頼関係の成立を基盤として行われるケアである。この患者と看護師の関係は時間的経過が影響していると考えられる。そこで、本論では、アメリカの患者-看護師関係論を取り上げて、時間の概念(時間的経過と一時)がどのように論じられているのか比較検討、分析した。その結果、時間的経過がオーランド、ウィーデンバック、ペプロウ、トラベルビーの4人の理論家には明確でなかった。しかし日本の外口玉子と川野雅資の人間関係論には時間的経過の概念が含まれていた。但し、オーランドとウィーデンバックは「即時、その時その場で」という「一時」の時間の概念があった。現代の日本の医療における看護援助では、入院日数の短縮化でゆったりとした「時間的経過」で患者-看護師関係を形成するには困難があるが、そのような状況では、「即時」にどのように患者-看護師関係を形成していくのか、「時間」に注目して患者-看護師関係を形成することが重要であると考えている。それには、ここで取り上げた人間関係論を見直すことが必要である。
著者
生田 恵子 高橋 宏子 勝家 美江子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.111-123, 2007-03

本大学の看護学科は、看護の専門性を駆使し、人々がその人らしく「生きる」「生活する」ことを支援できる所謂「地域に根ざした福祉に強い看護師の育成」を教育目標に平成18年4月に開学した。教育の目標達成に欠かせないカリキュラム内容については検討に検討を重ね、それに相応しい教育課程・科目の入ったものを作成し、それを下に授業を開始している。今後はこのカリキュラム内容の妥当性・効果について検証をし、より良いものにしていく必要がある。そう考えていたところへ前期に「人権と福祉」「看護福祉論」を受講した学生が授業中モデルとして上げられた施設でボランティアをしたいとの申し出があり、それを実現することができた。体験後その学生から「地域に根ざした福祉に強い看護師」とはどんなことかが実感できたとの報告があった。その実感には、本看護学科の教育内容をよりよくするための示唆が含まれていたので、他の関連事例を含めて検討をした結果、教育内容見直しに必要な多くの示唆を得ることが出来たので報告する。
著者
柳澤 秋孝 柳澤 弘樹
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.203-209, 2007-03

近年、うつ病に代表される精神疾患や児童の自閉症などの問題が急増している(Lee and Ousley,2006)。それらの問題解決のために運動が有用であり,その効果に期待が寄せられている。成長が著しい幼児期から児童期の子どもに運動が有効であることが知られている(勅使,1999)。我々は独自の運動プログラムを子どもたちに実施したところ、運動を実施した子ども達は前頭機能を測定するGo/No-go課題テストで高い成績を収めることを確認した。そして、この効果はプログラム終了後も継続することが確認されていることから(柳澤弘樹et al,2005)、幼児期における運動プログラムが子どもの前頭機能に何らかの影響を及ぼしている可能性が高い。今回の調査では、幼児期の運動プログラムによる動機付けが子どもの前頭機能と生活に及ぼす効果を検証した。幼児期に運動プログラムを行なう効果を検証するために幼稚園児と小学校の児童218名と、運動プログラムを実施しないコントロール群においてGo/No-go課題と生活調査を行った。運動プログラムによる動機付けを行った結果,幼稚園のGo/No-go課題の間違い数は運動支援群の方がコントロール群よりも少ない傾向にあった。また、幼稚園の生活調査では、注意因子と抑制因子において運動支援群の成績が有意に高い得点を示した。今回の結果より幼稚園の園児に対して運動は前頭機能と生活にポジティブな効果を及ぼすことから運動の重要性が示唆された。