著者
松川 寿也 丸岡 陽 中出 文平 樋口 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1108-1115, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
9

この研究では、地方自治体の縁辺部における土地利用規制格差の下で制定された開発許可条例に着目する。本研究では、和歌山市及び甲府市の市街化調整区域とその隣接市を対象として、両市の間での市街化の動向と、土地利用施策を明らかにすることを目的とする。その結果、以下のことを明らかにした。(1)開発許可条例の制定により市街化調整区域での市街化が促進された一方で、非線引き都市計画区域側での市街化が鈍化した。(2)前述の市街化には、農振法の土地利用規制格差も影響していた。(3)非線引き都市計画区域側での市街化が鈍化しても、農振除外による市街化を確認できるが、非線引き側での土地利用規制誘導策の導入には消極的であること。
著者
本村 恵大 丸岡 陽 松川 寿也 中出 文平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.521-528, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

本研究は、居住誘導区域を指定した線引き地方都市を対象に、主に居住誘導区域外とした区域に着目する。そして、策定経緯を明らかにすることで、今後の居住誘導区域の指定の在り方に示唆を与えることを目的とする。当初市街化区域と拡大市街化区域それぞれに対する居住誘導区域内外の割合を用いて対象都市を類型化した。そして、公共交通・基盤整備・人口密度の視点から空間特性を把握し、詳細対象都市を6市選定した。分析・ヒアリング調査より、1つの指標を軸に様々な視点から取捨選択を図った上で居住誘導区域を指定すべきである。線引き都市で除外基準以外の市街化区域全てを居住誘導区域に指定することは、区域区分制度と大差がなく誘導効果は薄い。また、災害の危険性が高い箇所を含むべきではなく、既成市街地の位置や土地利用の状況を踏まえた指定が望ましい。
著者
渡辺 哲也 丸岡 陽 松川 寿也 中出 文平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.490-497, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究では、立地適正化計画を策定した地方都市を対象に、規制の厳しい用途地域の場所を都市機能誘導区域とした経緯を明らかにし、今後の区域設定に示唆を与えることを目的とする。施設の立地現況を踏まえた詳細対象8都市への分析及びヒアリング調査の結果、規制の厳しい用途地域の場所を誘導区域としたのは、その用途地域に立地可能な施設を誘導施設としたためであることが明らかになった。それ以外にも、将来利用できる可能性のある場所であったため規制の厳しい用途地域の場所を誘導区域とした事例もあった。広域的な利用が考えられる施設が立地する場合や、将来的に利用が考えられる場合のみ、規制の厳しい用途地域の場所は誘導区域に含めるべきである。
著者
鈴木 凱 丸岡 陽 松川 寿也 中出 文平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.346-353, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
4

本研究は、都市計画法施行令第8条1項2号イを根拠に、これまで指定されてきた市街化区域に対して公共交通がどの程度担保されてきたのかを把握し、今後の市街化区域内の公共交通の在り方に示唆を与えることを目的とする。対象都市に対して、市街化区域の拡大状況、公共交通網の変遷を再現し、公共交通が担保されていない箇所がなぜ市街化区域として指定されているのかをヒアリングで把握した。その結果、各都市ともにこれまでの市街化区域の指定は公共交通網の状況のみを以て区域を画定していないことが明らかとなった。郊外部の人口増加や都市機能の集積の変化に対応するため、適切にバスターミナルなどの交通結節点を設けるべきである。
著者
星 祐希 松川 寿也 丸岡 陽 中出 文平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.323-329, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
6

本研究は、残存農地を有する地方都市を対象に、残存農地集積地が存在してきた経緯や今後の土地利用方針から、人口減少都市が抱える残存農地集積地での土地利用制度設計のための知見を得ることを目的とする。その結果以下を明らかにした。 1)残存農地集積地は、人口増加を想定した当初線引きやそれ以前に指定された用途地域において、スプロールにより形成されてきた。 2)逆線引きが困難な残存農地集積地を抱えることは、市街化区域の人口密度維持や新たな市街地整備に支障となる。 3)この問題への地方自治体の措置は、居住誘導区域の指定による宅地化の促進である一方、田園住居地域の指定に対しては行政としてのメリットがない。 残存農地を田園住居地域に指定して、非可住地として扱うことで、人口密度維持と用途地域の拡大が可能と考えるが、農政側で田園住居地域内の農地の扱いを変える法改正が必要である。
著者
寺島 駿 松川 寿也 丸岡 陽 中出 文平 樋口 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.76-84, 2018-04-25 (Released:2018-04-25)
参考文献数
10
被引用文献数
6 3

本研究では、線引き地方都市を対象に居住誘導区域を設定する手法の提案し、先行自治体の事例と比較検討することで、今後の自治体による計画策定に示唆を与えることを目的としている。都市構造の分析から、市街化区域に対する面積が異なる3つの居住誘導区域を作成し、先行自治体の計画と比較した。公共交通の利便性が高い都市では、市街化区域に対して狭い居住誘導区域を設定している一方、公共交通の利便性が低い都市では、市街化区域に対して広い居住誘導区域を設定していることが明らかとなった。本研究で明らかとなった知見から、3指標を基にした居住誘導区域指定の特徴や課題を明確化した。