著者
星 祐希 松川 寿也 丸岡 陽 中出 文平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.323-329, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
6

本研究は、残存農地を有する地方都市を対象に、残存農地集積地が存在してきた経緯や今後の土地利用方針から、人口減少都市が抱える残存農地集積地での土地利用制度設計のための知見を得ることを目的とする。その結果以下を明らかにした。 1)残存農地集積地は、人口増加を想定した当初線引きやそれ以前に指定された用途地域において、スプロールにより形成されてきた。 2)逆線引きが困難な残存農地集積地を抱えることは、市街化区域の人口密度維持や新たな市街地整備に支障となる。 3)この問題への地方自治体の措置は、居住誘導区域の指定による宅地化の促進である一方、田園住居地域の指定に対しては行政としてのメリットがない。 残存農地を田園住居地域に指定して、非可住地として扱うことで、人口密度維持と用途地域の拡大が可能と考えるが、農政側で田園住居地域内の農地の扱いを変える法改正が必要である。