著者
宮崎 弘道 丸木 和子
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.67-72, 2021-02-28 (Released:2021-06-30)
参考文献数
26

視覚支援の介入をきっかけに,適応行動を獲得した自閉スペクトラム症児を縦断的に歯科管理した.患者は6歳11カ月の男児である.約2年間,口頭指示では理解が得られず予防処置に抵抗していた.8歳10カ月のときに,予防処置の絵カードを用いた視覚支援を導入した当初から適応行動をとるようになった.患児にとって歯科治療は初めての経験で,治療内容や治療中の姿勢を,現存する知覚から想像できなかったことが不適応行動の原因と考えられた.抑制下で治療を受けているときに,声かけによる言語理解ができずに受診姿勢や治療内容を聴覚からイメージできなかったこと,治療中の自分自身の姿勢を目で見ることができないため受診姿勢や治療内容を視覚からもイメージできなかったこと,さらに,体性感覚(主に固有受容器感覚)からも,治療中の自分自身の姿勢をイメージできなかったと考えられた.絵カードを見たことにより,診療内容をイメージすることが可能になり,絵カードの姿勢の視覚情報と体性感覚からの情報が統合され,身体(姿勢)をイメージすることが可能になった.そして,毎月の予防処置を受診して,視覚情報と体性感覚の統合経験が繰り返されたこと,さらに,成長に伴う認知機能の発達により,声かけや歯科医療従事者を見て,受診姿勢や診療内容を想起できるようになった.その結果,絵カードを提示することなく口頭による説明で歯科処置への対応が可能になったと推測された.
著者
鈴木 五男 三ッ林 隆志 丸木 和子 赤坂 徹 前田 和一 中山 喜弘 浅野 知行 三之宮 愛雄 平井 守
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.396-402, 1984-07-30 (Released:2017-02-10)

施設入院療法を長年実施している3施設の協力を得て葉書によるアンケート調査を行い, 喘息児の症状の改善状態と遠隔成績について検討した.対象は気管支喘息児166名(男子116, 女子50), 入院時平均年齢は男子平均7歳9ヵ月, 女子7歳7ヵ月, 平均入院期間は男子23.6ヵ月, 女子24.4ヵ月であった.入院時の重症度は71.7%が重症, 28.3%が中等症であったが, 入院中72.3%が軽症化し, 退院1年後では軽症者が48.4%と減少し, 症状の悪化傾向がみられた.しかし, 退院3年後では81.2%に症状の改善をみた.女子, 年少児に重症化に傾向がみられたが有意差をみなかった.また入院中の症状の改善状況が退院後の経過に関連性を認めた.