著者
森 菜穂子 大髙 景子 丹代 菜々 髙橋 千晶
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード (ISSN:1345675X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.67-77, 2020-03

弘前大学教育学部附属学校園において,2019年6 月から9 月までの期間に行った児童生徒等の熱中症に関する調査と暑さ指数モニタリングシステムによって観測された校舎内外の暑さ指数の評価から「熱中症疑い」の発生状況と暑熱環境の実態を明らかにした。その結果,「熱中症疑い」は附属学校園全体で73件発生し,小学校が最も多く41件で半数以上を占めた。また,全体としては屋外の発生が多かったが,中学校においては教室等,屋内で発生する傾向にあった。暑さ指数危険度別にみると28℃以上31℃未満の「厳重警戒」が32件で最も多く,次いで25℃以上28度未満の「警戒」が17件,21℃以上25℃未満の「注意」が14件であった。校舎内外13か所の暑さ指数(日最高WBGT)は, 6月は「注意」, 7月は「警戒」, 8月は「厳重警戒」及び「危険」, 9 月は「警戒」の場所及び日数が最も多かった。特に7月後半から9月前半にかけて,多くの場所が「厳重警戒」や「危険」に達したことから,学校行事等の開催時期や熱中症対策を再検討する必要がある。