著者
岩﨑 和弘 島田 透
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード (ISSN:1345675X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.11-18, 2020-03

中学校理科における光の扱いは,幾何学的な規則性に基づいて理解させることをねらいとする。このため,教科書でも扱われるプリズムによる光の分散や雨上がりの空に見られる虹など,光が関係する現象をしっかりと理解させることはできない。そこで,中学校における光に関する学習の最後に,発展的学習として,光が波の一種であることを生徒に伝える授業実践を行った。本授業実践の導入で行った偏光を利用した科学マジックは,生徒の興味や関心を発展的学習に効果的に向けさせることに有効であることが分かった。授業後に回収したワークシートの記述から,光が波の一種であることや偏光について対象生徒の60%がしっかりと理解できたことを確認した。また,日常生活で目にする液晶ディスプレイなど,波としての光の性質を活用した具体例については,ほぼすべての生徒が理解できていたことを見て取ることができた。
著者
安野 眞幸
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード (ISSN:1345675X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-15, 2002-10

本稿は信長が永禄五年二月に鋳物師水野太郎左衛門に宛てて出した折紙を分析したものである。私はここで、この文書の「自他国鍋釜人事可申付之」の部分について、先学の豊田武氏・奥野高広氏とは異なる解釈を導き出し、太郎左衛門が商人司と同様な存在であったことを明らかにした。また以上の分析を通じて、この文書中に、信長と太郎左衛門との交渉内容が埋め込まれており、文書中の「諸役の免許」が一般に理解されているような「諸役の免除」ではなく、「諸役徴収権の許可」の意味であることを明らかにした。
著者
森 菜穂子 大髙 景子 丹代 菜々 髙橋 千晶
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード (ISSN:1345675X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.67-77, 2020-03

弘前大学教育学部附属学校園において,2019年6 月から9 月までの期間に行った児童生徒等の熱中症に関する調査と暑さ指数モニタリングシステムによって観測された校舎内外の暑さ指数の評価から「熱中症疑い」の発生状況と暑熱環境の実態を明らかにした。その結果,「熱中症疑い」は附属学校園全体で73件発生し,小学校が最も多く41件で半数以上を占めた。また,全体としては屋外の発生が多かったが,中学校においては教室等,屋内で発生する傾向にあった。暑さ指数危険度別にみると28℃以上31℃未満の「厳重警戒」が32件で最も多く,次いで25℃以上28度未満の「警戒」が17件,21℃以上25℃未満の「注意」が14件であった。校舎内外13か所の暑さ指数(日最高WBGT)は, 6月は「注意」, 7月は「警戒」, 8月は「厳重警戒」及び「危険」, 9 月は「警戒」の場所及び日数が最も多かった。特に7月後半から9月前半にかけて,多くの場所が「厳重警戒」や「危険」に達したことから,学校行事等の開催時期や熱中症対策を再検討する必要がある。