著者
宮崎 昭 丹治 藤治
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.323-327, 2015-04

昭和32年に国の天然記念物に指定された「奈良のシカ」は春日大社の神鹿として,1,200年以上もの長い歴史を生きぬいて今日にいたっている。しかし,シカをとりまく環境はいつの時代にも安泰というわけではなかった。古くは社寺境内ということで聖域とみなされて,殺傷禁断の安住の地であったため,戦前900頭前後で落ち着いていた生息頭数も,戦中・戦後の社会混乱期には激減して,昭和20年には推定頭数がわずか79頭になってしまった。そのような状況の中で奈良の鹿愛護会はシカの保護育成に努力した。頭数は昭和28年には254頭に回復し,さらに食糧事情が好転し経済成長が著しい時代を経ると39年には1,058頭に達した。しかしその後10年間ほどは頭数が逆にいくぶん減少した。
著者
宮崎 昭 丹治 藤治
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.323-327, 2015-04

昭和32年に国の天然記念物に指定された「奈良のシカ」は春日大社の神鹿として,1,200年以上もの長い歴史を生きぬいて今日にいたっている。しかし,シカをとりまく環境はいつの時代にも安泰というわけではなかった。古くは社寺境内ということで聖域とみなされて,殺傷禁断の安住の地であったため,戦前900頭前後で落ち着いていた生息頭数も,戦中・戦後の社会混乱期には激減して,昭和20年には推定頭数がわずか79頭になってしまった。そのような状況の中で奈良の鹿愛護会はシカの保護育成に努力した。頭数は昭和28年には254頭に回復し,さらに食糧事情が好転し経済成長が著しい時代を経ると39年には1,058頭に達した。しかしその後10年間ほどは頭数が逆にいくぶん減少した。