著者
椿 智佳 横山 壱成 小宮 佑介 長竿 淳 有原 圭三
出版者
全日本鹿協会
雑誌
日本鹿研究 (ISSN:21850542)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.1, pp.2-9, 2022 (Released:2023-05-22)

近年、野生動物による被害、特に北海道におけるエゾシカによるものが増加傾向にあり、これらの動物は個体数維持のため捕殺される。一方、狩猟によって得られる野生動物の肉をジビエとして利用する動きが拡大している。エゾシカにおける新たな食肉としての価値を高めるため、その理化学特性と嗜好性の検討を行った。エゾシカ肉のドリップロスおよび高温加熱時のクッキングロスは牛肉と比較して有意に多かった。味覚センサによる呈味性比較の結果、エゾシカ肉は先味であるうま味の数値が低く、後味であるうま味コクの数値が高かった。エゾシカ肉を用いたソーセージを調製し、官能評価を実施した。このとき、豚肉を配合(0、25、50、75、100%)し、その割合を検討した。その結果、香り、味、外観、総合の項目において、エゾシカ肉が25%配合(豚肉75%)されたソーセージを好ましいと選択したパネリストが最も多かった。また、GC/MS 装置を用いたエゾシカ肉の加熱香気成分分析の結果、エゾシカ肉からアセトインやアセトアルデヒドが検出された。
著者
田 来明 田 鑫 権 心嬌 付 暁霞 李 男 崔 鶴馨 胡 桂英
出版者
全日本鹿協会
雑誌
日本鹿研究 (ISSN:21850542)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.49-52, 2020 (Released:2023-05-22)

本研究では、保存方法の違いによる鹿肉の品質に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。冷蔵および冷凍時のpH は5.54 〜 5.69 の範囲内にあり、肉質が良好であることを示していた。しかし、冷凍庫で保存することによって、大腰筋の赤色度と色度が低下した(P <0.0001、P = 0.001)。解凍した鹿肉は高い遊離水比率(P = 0.001)、滴下損失(P = 0.033)、と低い可塑性(P = 0.001)を持った。冷凍された鹿肉の品質が冷蔵肉より劣っていることが判明した。