- 著者
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北村 祥貴
黒川 勝
丹羽 秀樹
奥出 輝夫
森山 秀樹
小竹 優範
稲木 紀幸
伴登 宏行
山田 哲司
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.12, pp.907-914, 2013-12-01 (Released:2013-12-20)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
2
3
患者は60歳の女性で,右季肋部痛と発熱を主訴に受診した.CTで肝右葉後区を主座とする最大径16.6 cmの充実性腫瘍を認めた.内部は多結節癒合状で一部出血壊死を伴っており,結節の辺縁部は後期相で濃染した.MRIではT2強調像で不均一な高信号,T1強調像で低信号を呈した.肝肉腫もしくは肉腫様変性を来した肝細胞癌と診断し,肝右葉切除術を施行した.病理組織学的検査所見では,紡錘形細胞が増殖しており,核異型が強く,細胞質内にperiodic acid-Schiff(PAS)陽性顆粒状胞体を有する細胞を認めた.免疫組織学的にα smooth muscle actin(αSMA)とdesminのみ一部の細胞で陽性であり,肝未分化肉腫と診断した.本症は主に小児に発生する悪性間葉系腫瘍で,成人の発症は極めてまれな予後不良な疾患であり,外科的切除が第一選択となる.確立した化学療法はないが集学的治療での長期生存例もあり,症例の集積と検討が必要である.