著者
黒川 勝利
出版者
岡山大学経済学会
雑誌
岡山大学経済学会雑誌 (ISSN:03863069)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.49-67, 2010-09

In September 1921, the Seattle Progressive Citizens' League was formed with the help of the North American Japanese Association. Led by Haru Osawa, the Secretary, the League started various activities to increase the political awareness of the second-generation Japanese Americans. Haru's eagerness and leadership ability aroused the hope of people for the future of the League. George Yamaoka, the Secretary of the University Student Club, was also eager for the empowerment of the status of the Japanese Americans in those years. In November 1923, however, Haru Osawa departed this life too young. George Yamaoka also left Seattle to go on to the graduate school in Washington D.C. After the death of Haru Osawa, the League continued to try to improve the conditions of the Japanese Americans in Seattle. It made efforts to increase the membership. It tried to increase the voter turnout of the Japanese Americans. And it sent delegates to the conference of the American Loyalty League, its counter part in California. The vigor of the years when Haru Osawa had been leading the League, however, was gradually lost. In 1928, James Sakamoto began to publish the Japanese American Courier and the League was reorganized under the leadership of Clarence Takeya Arai.
著者
北村 祥貴 黒川 勝 丹羽 秀樹 奥出 輝夫 森山 秀樹 小竹 優範 稲木 紀幸 伴登 宏行 山田 哲司
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.907-914, 2013-12-01 (Released:2013-12-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

患者は60歳の女性で,右季肋部痛と発熱を主訴に受診した.CTで肝右葉後区を主座とする最大径16.6 cmの充実性腫瘍を認めた.内部は多結節癒合状で一部出血壊死を伴っており,結節の辺縁部は後期相で濃染した.MRIではT2強調像で不均一な高信号,T1強調像で低信号を呈した.肝肉腫もしくは肉腫様変性を来した肝細胞癌と診断し,肝右葉切除術を施行した.病理組織学的検査所見では,紡錘形細胞が増殖しており,核異型が強く,細胞質内にperiodic acid-Schiff(PAS)陽性顆粒状胞体を有する細胞を認めた.免疫組織学的にα smooth muscle actin(αSMA)とdesminのみ一部の細胞で陽性であり,肝未分化肉腫と診断した.本症は主に小児に発生する悪性間葉系腫瘍で,成人の発症は極めてまれな予後不良な疾患であり,外科的切除が第一選択となる.確立した化学療法はないが集学的治療での長期生存例もあり,症例の集積と検討が必要である.
著者
坂井 一 黒川 勝己
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.217-230, 2002
参考文献数
32
被引用文献数
4

魚沼層群のSK110と上総層群のKd25火山灰層,およびSK100とKd24火山灰層の対比を検討した.これらの火山灰層はいずれも黒雲母の目立つガラス質火山灰層である.SK110とKd25およびその広域対比が指摘されている火山灰層については,記載岩石学的特徴や火山ガラスの化学組成から対比が検証され,さらにSK110とKd25とは,黒雲母の化学組成(Mg#=41.8-43.6)も一致する.SK100とKd24の対比については,火山ガラスに多孔質型が多いことや,化学組成の一致,有色鉱物に少量の褐れん石を含む共通性から対比できると考えられる.またSK100とKd24の黒雲母の化学組成(Mg#=26.0-36.0)も類似の組成範囲にある.なおSK100とKd24の火山ガラスや黒雲母,斜方輝石は,SK110やKd25に比べて,より低いMg#値を示す.SK100やKd24は,今後より広い地域にわたって見出されることが期待される.
著者
黒田 吉益 黒川 勝己 宇留野 勝敏 衣川 友康 加納 博 山田 哲雄
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.331-335, 1976-11-20
被引用文献数
3

舞鶴帯の北側に分布する大江山超塩基性岩体は主としてダンかんらん岩からなるが,その北部にかなり大きな単斜輝石岩の岩体がある(Fig. 1).それは一部,角閃石にとんだ,緑れん石一角閃石岩(部分的に斜長石をもち,角閃岩状になる)になっている.以前,川砂の研究から,この単斜輝岩岩体中より十字石,藍晶石が発見される可能性を指摘したが(宇留野・黒田, 1972), 1975年,黒川が藍晶石を発見し(黒川, 1975),つづいて衣川・黒田が十字石を発見した(衣川, 1975).それらは緑れん石角閃岩中に残晶として産するものである(Fig. 2).そのEPMAによる化学分析を行なった(Table 2).このようなことから,われわれはこの岩石が特殊な岩石であったことを確認し,今後共同して研究をすすめる予定にしたが,今のところ次のような作業仮説を考えているので報告した.かつて,藍晶石+十字石+単斜輝石という組合わせにあったものが,大江山岩体北方の宮津花崗岩体の接触変成作用により,緑れん石一角閃岩相程度の再結晶作用をうけ,緑れん石+角閃石(±緑泥石)のに組み合わせになった.
著者
里口 保文 樋口 裕也 黒川 勝己
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.74-86, 2005 (Released:2005-06-10)
参考文献数
41
被引用文献数
4 13 7

東海層群の大田テフラ層は,古琵琶湖層群,氷見層群,浜忠層にも対比されるテフラ層があるが,それらの年代はそれぞれ異なっている.本論では三浦層群のテフラ層との対比を行うことによって,大田テフラ層の年代を決定することを試みた.その結果,テフラの記載岩石学的性質や化学成分より,大田テフラ層は三浦層群のAn85テフラ層と対比された.さらに,三浦層群のAn77とAn53テフラ層は,東海層群の小鈴谷,坂井火山灰層とそれぞれ対比された.三浦層群の古地磁気層序と生層序の平均堆積速度から算出した大田テフラ層の年代は,約3.9 Maである.また,同様の検討から小鈴谷火山灰層,坂井火山灰層の年代は約3.9 Ma, 4.1 Maである.これら広域テフラ層の層序と年代をもとにして,本州中央部の下部鮮新統についての広域層序をまとめた.
著者
富田 裕子 黒川 勝己
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.63-71, 1999-01-15
参考文献数
38
被引用文献数
11 9

大阪層群最下部に挟在する鮮新世後期(約2.7 Ma)の土生滝I火山灰層および東海層群の南谷1火山灰層と, 日本海側の氷見層群のMT2火山灰層, 新潟地域の西山層中のArg-2火山灰層との対比を検討した.これらはいずれも黄白色ないし白色細粒のガラス質火山灰層で, 水底に堆積した降下火山灰層と考えられる.全層厚は13-150 cmであるが, 1-3ユニットから構成される.これらの火山灰層はその層準や年代, 高温型石英を含み, 斜方輝石, ホルンブレンドを主とする重鉱物組成などの記載岩石学的特徴, およびbubble wall型を主とする火山ガラスの形状, ガラスの屈折率, 化学組成の検討から同一の火山灰層と認定できる.南谷1火山灰層はすでに掛川層群の有ヶ谷I火山灰層にも対比されていることから, これらの火山灰層(土生滝1-MT2火山灰層と総称する)は中央日本における太平洋側から日本海側にわたる広域火山灰層として有効に活用しうると考えられる.