著者
丹野 治門 倉林 利行 張 暁晶 伊山 宗吉 安達 悠 岩田 真治 切貫 弘之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.3_121-3_147, 2017-07-25 (Released:2017-08-09)

テスト設計を効率よく行うために必要となるテスト入力値生成技術に関する調査を行った.ソフトウェア工学分野とソフトウェアテスト分野における5つの主要会議 (ICSE,FSE,ASE,ISSTA,ICST)の過去約10年分の研究論文を調査対象とした.本論文では,これらの手法を目的別に整理したうえで,それぞれの手法の概要を紹介する.
著者
倉林 利行 吉村 優 切貫 弘之 丹野 治門 富田 裕也 松本 淳之介 まつ本 真佑 肥後 芳樹 楠本 真二
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.143-152, 2020-09-03

本論文ではソフトウェア開発における実装の自動化に向けたファーストステップとして,プログラミングコンテスト AtCoder の正解プログラムを自動生成する技術の開発を目指す.自動プログラミングの既存研究としては,生成したいプログラムの入出力例からプログラム部品を合成する手法などが存在するが,プログラム部品の組み合わせ爆発により入出力例を満たすプログラムが生成できない,また生成できたとしても入出力例は満たすが正しいプログラムではないというオーバーフィッティングしたプログラムが生成されてしまうという課題が存在した.本論文では深層学習を用いて過去の問題情報から問題文と正解プログラムの関係性を学習することで上記の問題を解決する.具体的には学習済みモデルを用いて過去の問題情報から解きたい問題と類似した問題を検索して取得し,その正解プログラムを雛形としてプログラムを複数個合成し,再び学習済みモデルを用いて生成されたプログラムから最も問題文との関係性が近いプログラムを判定して出力する手法を提案した.提案手法は AtCoder の配点が 100 点の問題 92 問に対して評価を行い,24 問の正解プログラムの自動生成を確認した.
著者
渡辺 大登 柗本 真佑 肥後 芳樹 楠本 真二 倉林 利行 切貫 弘之 丹野 治門
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1564-1573, 2022-10-15

自動プログラム生成(APG)の実現を目指し,生成と検証に基づく自動プログラム修正(APR)を転用した手法が提案されている.APRはバグを含むソースコードをすべてのテストケースに通過するように全自動で改変する技術である.APRを転用したAPGでは,初期状態のソースコードを未実装,つまり複数のバグが含まれていると仮定し,ソースコードの改変,評価,選択を繰り返してソースコードを目的の状態に近づけていく.一般的なAPRでは改変ソースコードの評価指標として,テストケース通過数がよく用いられる.この指標は単一バグの修正を目的とした場合には問題にならないが,複数バグの修正時にはコード評価の表現能力不足という問題につながる.よって,初期状態に複数バグの存在を仮定するAPGにおいては,解決すべき重要な課題である.そこで,本研究ではAPGの成功率改善を目的とした多目的遺伝的アルゴリズムの適用を提案する.また,多目的遺伝的アルゴリズムによる高い個体評価の表現能力を利用した,相補的なテスト結果の2個体を選択的に交叉する手法も提案する.評価実験として,プログラミングコンテストの問題80問を題材に提案手法の効果を確かめた結果,成功率の有意な向上を確認した.
著者
切貫 弘之 丹野 治門
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.106-114, 2020-09-03

テストの自動化は,市場の変化に迅速に対応して素早くソフトウェアをリリースするために重要である.しかし,画面の操作を伴うテストスクリプトの実装および保守のコストは自動テスト導入の大きな障壁となっている.一方,画面表示やユーザビリティのテストなど,現在の産業界におけるテストは人手に頼る部分も多く存在している.本研究では,このような人手によるテストのログを用いて,ページオブジェクトパターンを採用した有用なテストスクリプトを自動生成する手法を提案する.提案手法を利用することで,ソフトウェア開発で必要不可欠な手作業によるテストを行うだけで有用なテストスクリプトを生成することができ,テストスクリプトの実装・保守のコストを下げることが期待できる.
著者
丹野治門 星野隆 KoushikSen 高橋健司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.6, pp.1-8, 2013-10-17

本研究は,関係データベース (DB) を用いる業務システムの結合テストを対象として,DB アクセスを伴う各テストケースに対し,適切なテストデータ (画面入力値及び DB 初期状態) を自動生成する問題を扱う.既存技術では,複数回の参照系アクセス,更新系アクセスを扱っていないため,テストデータ生成の適用範囲が狭く,設計モデルとして単一画面遷移しか扱っていないため,複数画面遷移を伴うテストを扱うことができないといった問題があった.本研究では複数回の参照系アクセス,更新系アクセスを扱えて,かつ複数画面遷移も記述することが可能である設計モデルを規定し,その設計モデルからシミュレーション用ソースコードを生成し,生成したソースコードに対して Concolic 実行を行うことで,テストデータの生成を行う手法を提案する.本論文では,簡単な例題を用いたケーススタディにより,提案手法の実現性についても考察した.This research focus on how to automatically generate suitable test data composed of input value and the initial state of relational database for each test case of the integration testing of enterprise systems which use database. The existing methods cannot handle test data generation for systems that have complicated logic such as reading or updating database more than once. In addition, the existing methods use the design model which can express only a screen transition between 2 screens and cannot express screen transitions among more than 3 screens. To solve the problems, we proposed a design model which can express a business logic where it reads or updates database more than once and the screen transitions among more than 3 screens, and we also propose test data generation method where it converts the design model to source codes and applies concolic testing to the source codes. In this paper, we also show the proof of the concept with a simple case study.