著者
久下 敏宏 信澤 邦宏 舞田 正志
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.73-80, 2004-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
2

榛名湖において, ワカサギ不漁年である1997年の5~6月での, 全長25cm以上のオオクチバス生息尾数は約2500尾と推定されるとともに, 全長25cm未満の卓越した年級群の存在が推察された。ワカサギ不漁年と豊漁年に, 1歳魚以上のオオクチバスの胃内容物を調査したところ, 両年ともに魚類と甲殻類を主な餌料としており, 魚類については, 不漁年はヨシノボリ属魚類, 豊漁年はワカサギの出現率が高かった。捕食されていたワカサギの成長段階は, 産卵期が親魚で, 夏以降が未成魚以上であった。また, 不漁年は豊漁年に比べ, オオクチバスの肥満度と胃内容物重量指数が低かった。さらに, 釣り大会秤量魚の平均体重が不漁期に減少することから, 榛名湖のオオクチバスにとってワカサギは重要な餌料であり, オオクチバス生息尾数の増減がワカサギ資源へ影響を及ぼしていると考えられる。
著者
田中 英樹 鈴木 究真 小野関 由美 泉 庄太郎 青柳 久仁子 久下 敏宏
出版者
群馬県水産試験場
雑誌
群馬県水産試験場研究報告 (ISSN:13421085)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-12, 2014

内水面漁業と水圏生態系に重大な影響を及ぼすコクチバスMicropterus dolomieuは、群馬県内において1998年5月に榛名湖で初めて採捕され、翌1999年5月には奥利根湖で生息が確認された。2002年と2005年には神流湖で採補されたが、その後は奥利根湖以外における採捕事例は途絶えていた。本種は群馬県はもとより、全国的にも公式な放流事例はなく、他魚種の種苗放流に混入した生息域の拡大も著しく否定されている。2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、いわゆる「外来生物法」に基づき、飼育を始め、他地域への放流や運搬が禁止されている「特定外来種」に指定されているにもかかわらず、近年では群馬県内の河川でも生息が確認され、2009年の烏川での採捕に端を発し、2011年に鏑川、渡良瀬川、碓氷川、2012年には鮎川で採捕され、その生息分布域が拡大しており、繁殖抑制および拡散防止、ならびに駆除を行うことが急務となっている。一方、コクチバスの日本での生態は未だに不明な点が多く、実態の解明が早急の課題となっている。そこで今回、コクチバスの生息河川を管轄する漁業協同組合と遊漁者、水産行政の協力のもと、群馬県内の河川に生息するコクチバスの胃内容物と河川の水温変化に伴う摂餌行動に着目した調査を行い、その食性等に関する知見を得たので報告する。
著者
久下 敏宏 信澤 邦宏 舞田 正志
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.73-80, 2004-03-20
被引用文献数
1

榛名湖において、ワカサギ不漁年である1997年の5~6月での、全長25cm以上のオオクチバス生息尾数は約2500尾と推定されるとともに、全長25cm未満の卓越した年級群の存在が推察された。ワカサギ不漁年と豊漁年に、1歳魚以上のオオクチバスの胃内容物を調査したところ、両年ともに魚類と甲殻類を主な餌料としており、魚類については、不漁年はヨシノボリ属魚類、豊漁年はワカサギの出現率が高かった。捕食されていたワカサギの成長段階は、産卵期が親魚で、夏以降が未成魚以上であった。また、不漁年は豊漁年に比べ、オオクチバスの肥満度と胃内容物重量指数が低かった。さらに、釣り大会秤量魚の平均体重が不漁期に減少することから、榛名湖のオオクチバスにとってワカサギは重要な餌料であり、オオクチバス生息尾数の増減がワカサギ資源へ影響を及ぼしていると考えられる。
著者
田中 英樹 鈴木 究真 小野関 由美 泉 庄太郎 青柳 久仁子 久下 敏宏
出版者
群馬県水産試験場
雑誌
群馬県水産試験場研究報告 (ISSN:13421085)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-12, 2014

内水面漁業と水圏生態系に重大な影響を及ぼすコクチバスMicropterus dolomieuは、群馬県内において1998年5月に榛名湖で初めて採捕され、翌1999年5月には奥利根湖で生息が確認された。2002年と2005年には神流湖で採補されたが、その後は奥利根湖以外における採捕事例は途絶えていた。本種は群馬県はもとより、全国的にも公式な放流事例はなく、他魚種の種苗放流に混入した生息域の拡大も著しく否定されている。2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、いわゆる「外来生物法」に基づき、飼育を始め、他地域への放流や運搬が禁止されている「特定外来種」に指定されているにもかかわらず、近年では群馬県内の河川でも生息が確認され、2009年の烏川での採捕に端を発し、2011年に鏑川、渡良瀬川、碓氷川、2012年には鮎川で採捕され、その生息分布域が拡大しており、繁殖抑制および拡散防止、ならびに駆除を行うことが急務となっている。一方、コクチバスの日本での生態は未だに不明な点が多く、実態の解明が早急の課題となっている。そこで今回、コクチバスの生息河川を管轄する漁業協同組合と遊漁者、水産行政の協力のもと、群馬県内の河川に生息するコクチバスの胃内容物と河川の水温変化に伴う摂餌行動に着目した調査を行い、その食性等に関する知見を得たので報告する。