著者
下山 泰史 久保田 好枝 丸 章彦 松永 孝治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

【目的】マツ材線虫病の防除方法には、抵抗性マツの導入、樹幹注入剤の使用等があるが、これらの防除方法の特性を効果的に組み合わせる事で、より高い防除効果が期待できる。そこで、両法を併用した場合のマツ材線虫病に対する防除効果を検討した。【方法】抵抗性クロマツ2家系及び精英樹1家系に由来するさし木苗を用い、2013年3月に酒石酸モランテル(グリンガード・NEO<br>(ゾエティス・ジャパン㈱))を地際部に注入した。同年7月にマツノザイセンチュウのアイソレイトSc9を1,000、3,000及び10,000頭接種した。同年12月に病徴を観察した。【結果】抵抗性由来の苗の10%で全身的な病徴が認められ、精英樹由来の苗は接種線虫濃度の増加に伴い23、29、64%の苗が枯損した。一方、樹幹注入した場合、抵抗性由来の苗に全身的な病徴は認められず、精英樹由来の苗は枯死率がそれぞれ0、7、21%に低下した。以上から抵抗性マツと樹幹注入剤を組み合わせることでより防除効果が高まることが示唆された。