著者
倉片 憲治 久場 康良 口ノ町 康夫 松下 一馬
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.215-222, 1998-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
5 3

高齢者の聴覚特性に適合した報知音を検討するために, 現在市販されている家電製品の報知音の測定を行った. その結果, 以下の3点が問題として明らかとなった: (1) 4000Hz付近の高い周波数の音が多用されている. これらの音は聴力の低下した高齢者にとって聞き取りにくいものであり, より低い周波数の音の使用が望まれる. ただし, 家庭内で生じる環境音は低域の成分が相対的に強いため, 報知音の周波数を下げることによって, それらの音にマスクされて聞き取りにくくならないよう注意する必要がある. (2) 非常に小さな音を用いた製品がある. 高齢者の聴力に合わせた, 適切な音量設定が必要と考えられる. (3) 互いに似通った音色や鳴らし方のパターンが多いため, どの製品の音が鳴ったのかが区別しにくい. そのために混乱をきたす可能性があると考えられる.