著者
津崎 実 入野 俊夫 堀川 順生 宮崎 謙一 牧 勝弘 竹島 千尋 大串 健吾 加藤 宏明 倉片 憲治 松井 淑恵
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究は加齢による「聴力」の変化について知覚・生理現象観察と計算モデルを構築を目的とした。従来ほとんど関心を集めていなかった加齢性ピッチ・シフト現象について,十分な数の幅広い年齢層の聴取者を用いて,その現象が確実に生じることを突きとめ,さらに同じ聴取者に対する聴力検査,耳音響放射検査,脳波の周波数追随反応との相関分析を実施した。並行実施した非線形圧縮特性,聴神経の位相固定性などへの加齢による変容の基礎検討を通して,ピッチ・シフトはこれらの要因の変容によっては説明困難であること示し,新規の聴覚モデルの提案に至った。
著者
小林 まおり 倉片 憲治
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.85-93, 2023-02-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
73

女声と男声,どちらが聞き取り易いであろうか。一般に女声の方が聞き取り易いとされているが,高齢者や聴覚障がい者では聞き取りづらいとの意見もある。本総説では,種々の研究結果を概観することで,この問いへの解答を試みた。まず,聴取実験を行った研究を比較したところ,女声の方が了解度や印象評価の結果は高いものの,概してその効果は小さかった。次に,音響特徴を分析した研究では,了解性の高い音声の特徴が女声に多くみられる傾向にあった。一方,高齢者で男声よりも女声の方が聞き取りにくいことを示した実験結果は確認できなかった。最後に,これらレビューの結果から,話者の性別のバランスを考慮した音声研究の必要性について提言を行った。
著者
倉片 憲治
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.708-711, 2002-10-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
11
著者
佐川 賢 倉片 憲治
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.34-44, 2013 (Released:2013-02-16)
参考文献数
8
被引用文献数
2 5

高齢者・障害者の不便さを解決する技術として、アクセシブルデザイン研究の概念と進め方および成果の普及方法について、視覚の研究を例にとり説明した。福祉用具とは異なる視点をもつアクセシブルデザインの特徴を、問題解決の方法、デザインの対象、公共性の点についてそれぞれ言及し、公共性の点からアクセシブルデザインにおける標準化の役割について説明した。次に、これらの研究の特徴を、特に高齢者に読みやすい文字サイズを推定する視覚的技術を例にとり、その研究の流れに沿って技術的内容を述べた。年齢を考慮した最小可読文字サイズ推定方法を開発するため、まず、年齢や視距離によって変化する視力の基盤データの収集からスタートし、実際の日本語に出てくる文字の可読性に関するデータの収集を行い、そこから一般性のある可読文字サイズ推定式を導き、その実用性を確認した。この推定技術は、さらに国内外における標準的技術へと進展させた。特に国際標準確立に必要な国際比較テストを行い、この研究成果の有用性を確かめた。最後に、これらの一連の研究を基礎技術とその展開という二つのサイクルに分けて説明することによって、アクセシブルデザイン技術体系の開発における本格研究の位置付けを明確にした。
著者
佐川 賢 倉片 憲治 横井 孝志
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.24-29, 2011 (Released:2016-02-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1

“Accessible design” is an emerging design method of products, services and environments. It takes into account special requirements of older persons and persons with disabilities in the design process and, thereby, maximizes the number of their potential users. In the design process, ergonomic knowledge and human-ability/characteristic data of those target users play a crucial role. This paper reviews the development of accessible-design methods in a variety of fields such as user-interface design of consumer products and shows how ergonomic knowledge and data can be used effectively. It also focuses on relevant activities of international standardization in Technical Committee 159 “Ergonomics” of International Organization for Standardization.
著者
倉片 憲治 久場 康良 口ノ町 康夫 松下 一馬
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.215-222, 1998-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
5 3

高齢者の聴覚特性に適合した報知音を検討するために, 現在市販されている家電製品の報知音の測定を行った. その結果, 以下の3点が問題として明らかとなった: (1) 4000Hz付近の高い周波数の音が多用されている. これらの音は聴力の低下した高齢者にとって聞き取りにくいものであり, より低い周波数の音の使用が望まれる. ただし, 家庭内で生じる環境音は低域の成分が相対的に強いため, 報知音の周波数を下げることによって, それらの音にマスクされて聞き取りにくくならないよう注意する必要がある. (2) 非常に小さな音を用いた製品がある. 高齢者の聴力に合わせた, 適切な音量設定が必要と考えられる. (3) 互いに似通った音色や鳴らし方のパターンが多いため, どの製品の音が鳴ったのかが区別しにくい. そのために混乱をきたす可能性があると考えられる.
著者
犬飼 幸男 多屋 秀人 佐藤 洋 蘆原 郁 倉片 憲治
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, no.16, pp.101-106, 2006-07-11

National criteria for the assessment of low frequency noise annoyance in Sweden, Denmark, Netherlands, Poland and U.K. were reviewed, and the basic concepts were compared. The Experience from these countries in applying the criteria was also reviewed, and a common difficulty of these criteria in practice was showed. Japanese criterion, "Reference values of mental and physical discomfort" was compared with these criteria, and the advantages and the problems were discussed for future improvements in the criteria.