著者
中治 春香 久村 正樹 久木原 由里子 淺野 祥孝 中村 元洋 園田 健一郎 安藤 陽児 輿水 健治
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.31-34, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
7

(症例) 66歳男性。 (既往歴) 統合失調症。 (現病歴) 自宅で転倒して動けなくなり, 近医を経て当院に搬送された。バイタルサインは安定しており, 急性腎障害疑い, 高CPK血症, 胸椎11圧迫骨折, 左大腿骨転子部骨折の診断で保存加療となった。 (入院後経過) 腎不全は輸液と透析で軽快し, CPKは第5病日にピークアウトした。第11病日にせん妄に対しリスペリドン6mgが開始され, その翌日から意識が低下する。第15病日から発熱し, 熱源として誤嚥性肺炎と診断された。抗菌薬で肺炎の治療を開始したが, 第23病日に死亡退院となった。 (考察) リスペリドンの副作用による誤嚥性肺炎による死亡と考えられた。せん妄は, 身体疾患による急性脳症であり, 原因となる身体疾患や薬物を同定して治療する必要がある。せん妄に対して対症療法として抗精神病薬を使用する場合には, 誤嚥などの副作用に注意して使用するべきであると考えられた。
著者
久村 正樹 藤井 昌子 松枝 秀世 城下 翠 橋本 昌幸 中村 元洋 淺野 祥孝 久木原 由里子 大井 秀則 平松 玄太郎 有馬 史人 安藤 陽児 輿水 健治
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.315-318, 2018-12-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
7

症例は55歳男性。自殺企図で有機リン製剤を飲み, 埼玉医科大学総合医療センターに救急搬送された。病着時, Glasgow Coma Scale 14 (E3V5M6) と軽度の意識障害と瞳孔径2mm/2mmの縮瞳, および著明な流涎を認めていた。血液検査ではコリンエステラーゼ値が4U/Lと低下し, 血清からはジクロルボスが検出された。有機リン中毒と診断し呼吸管理を中心に加療を行った。第4病日からリハビリテーション (以下, リハビリ) を開始したが, 第25病日に両足の動かしづらさを訴えるようになった。第33病日に歩行困難となりICU-acquired weaknessの診断基準を満たすようになったが, リハビリ病歴から原因は有機リンの遅発性多発神経炎と診断できた。このため病態に沿ったリハビリが継続できた。第43病日に自力歩行が可能となり, 第65病日に独歩で転院した。重症患者に早期からリハビリを導入することは, 治療のみならず診断にも寄与する可能性がある。