著者
久永 絢美 阪中 達幸 吉岡 照高 杉浦 実
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.83-89, 2019-03-15 (Released:2019-03-19)
参考文献数
15
被引用文献数
2

ウンシュウミカンは日本国内で最も消費量の多い国産果樹の一つであり,近年,ウンシュウミカンに多く含まれる β-クリプトキサンチンが骨の健康維持に有効であることが示されている.本研究において,可視・近赤外分光法による非破壊光センサーと最近新たに開発された β-クリプトキサンチンの簡易測定法を組み合わせることで,果実中の β-クリプトキサンチン含有量を非破壊で推定できるか検証を行った.2016年度に入手した340個のウンシュウミカン果実について,非破壊光センサーによる吸収スペクトルと簡易測定器による含有量データとの関連についてPLS回帰分析を行った.これらの回帰分析から得られた検量線の妥当性を評価したところ,決定係数(R2)は0.897,RMSEP値は0.169,RPD値は3.01であった.これらの結果から,β-クリプトキサンチン簡易測定器と非破壊光センサーを組み合わせることで,ウンシュウミカン果実中のβ-クリプトキサンチン含有量を精度高く非破壊で推定できることが判明した.
著者
久永 絢美 杉浦 実
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.251-256, 2018 (Released:2018-10-19)
参考文献数
9

近年, 消費者庁で新たな食品表示法が施行され, 生鮮農産物も栄養機能食品の対象になった。ウンシュウミカンは日本国内で最も良く食される国産果実の一つであり, ビタミンCを多く含む。そのため, 栄養機能食品としての期待が高い。しかしながら, ウンシュウミカンに含有されるビタミンC量の品種群や果実品質 (等級) による違いに関して, 詳細に調査した報告は少ない。そこで本研究において, 我々は国内主産地で収穫されたウンシュウミカン中のアスコルビン酸含有量を調査し, その含有量と糖度との関連性について検討を行った。その結果, ウンシュウミカン果実中の総アスコルビン酸含有量は早生品種で最も高く, その後, 出荷時期が遅い果実ほどその含有量は低値を示し, また酸化型アスコルビン酸の割合が増加することが明らかとなった。また果実中のアスコルビン酸含有量は糖度と有意に正相関し, より等級の高い果実ほど含有量が多いことが明らかとなった。