著者
大塚 雄一郎 久満 美奈子 根本 俊光 松山 浩之 堀内 菜都子 福本 一郎 山崎 一樹 米倉 修二 花澤 豊行
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.903-909, 2021-06-20 (Released:2021-07-01)
参考文献数
14

鼻口蓋管嚢胞は鼻口蓋管の胎生期の遺残上皮から発生する. 近年では低侵襲な内視鏡下の開窓術の報告が増えているが, 鼻口蓋神経や上歯槽神経を損傷するリスクがある. 開窓術による鼻口蓋神経の損傷が疑われた1例を経験した. 症例は55歳女性, 硬口蓋前方が膨隆し鼻中隔が前下方で左右に膨隆していた. CT・MRI で鼻腔内に進展する鼻口蓋管嚢胞を認めた. 全身麻酔下に鼻中隔粘膜を切開し嚢胞壁を切除して鼻口蓋管嚢胞を両側鼻腔内に開窓した. 術後に嚢胞は消失したが, 両側上顎の第1, 2, 3歯の違和感を訴え, 術後3年後も両側上顎第1歯の歯肉部の違和感がある. 開窓時の鼻口蓋神経の損傷が原因と考えた.