著者
小泉 圭吾 岩本 遼生 藤原 優 久田 裕史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.22-00105, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
28

近年,豪雨による表層崩壊が多発している.これに対し筆者らは,これまで雨水浸透のみによる表層崩壊に着目して研究を進めてきた.一方,実情は排水設備の不具合や,排水構造物の流下能力を超過した水の流入による崩壊が発生しており,高速道路の斜面崩壊の約半数は,このような排水構造物の不具合に起因していると報告されている.従って,降雨による表層崩壊の問題を考える上で,雨水浸透のみならず排水構造物からの溢水を伴う崩壊現象についても明らかにしていく必要がある.本論文では,数値解析によって雨水浸透のみと,溢水を伴う浸透の違いを評価し,模型斜面実験によって浸透から変形までのメカニズムの違いを考察した.その結果,溢水を伴う表層崩壊は,雨水浸透のみによる崩壊とは浸透挙動や崩壊形態が異なることを明らかにした.
著者
須﨑 純一 楠瀬 智也 木村 優介 宇野 伸宏 藤原 優 久田 裕史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00022, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
22
被引用文献数
1

高速道路の維持管理業務において,道路や橋脚の劣化に対する補修だけでなく,災害発生時の事前・事後対策も重要な業務である.頻発する土砂災害への備えとして,本論文では人工衛星に搭載された合成開口レーダ(synthetic aperture radar: SAR)で取得された時系列画像を用いて,重点的に監視すべき箇所を絞り込む手法を提案する.時系列SAR解析の手法を用いて,強い散乱を示す地点の累積地盤変動量を推定し,その後高速道路沿いの一定範囲の平均累積地盤変動量を算出するものである.本研究での推定結果は,実際に土砂災害が発生した箇所において前年時の豪雨後から変動が始まっている様子を示している.よって提案手法は高速道路管理者の維持管理業務に取り入れられる可能性を有する実用的な手法と言える.