著者
久米 博士 長名 優子 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.98, no.674, pp.261-268, 1999-03-19

本報告では、特徴統合理論に基づく視覚ニューラルネットワークモデルを提案する。提案モデルは視覚情報処理の並列階層性および視覚的注意による情報選択性に着目した構成となっており、人間の視覚系をモデリングする際に問題となる結び付け問題を解決することができる。提案モデルは特徴認識段階と特徴統合段階から構成される。特徴認識段階には図形認識モジュールと色認識モジュールがあり、各モジュールで特徴量が並列分散処理される。図形認識モジュールには階層型ニューラルネットワークであるネオコグニトロンを、色認識モジュールには学習ベクトル量子化によるニューラルネットワークを用いている。特徴統合段階では、各モジュールで認識された特徴を特徴統合理論に基づき統合する。特徴統合理論とは、視覚探索研究に基づいた理論であり、視覚情報処理過程におけるすべての現象を一貫して説明する理論の代表的なものである。この理論により、視覚に入ってくる複数の情報を認識し、統合することが可能となるので、結び付け問題を解決することができる。計算機シミュレーションにより提案モデルの有効性を示した。