著者
久蔵 孝幸 一條 美香 土田 佳織 山岸 紀
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究
巻号頁・発行日
vol.3, pp.29-34, 2009-03-25

久蔵ら(2008)においては、背景要因としてHFPDDが疑われ、かつ家庭内暴力や非行他の複合的な問題により家庭内養育が困難に至った男児10名について、WISC-IIIに見られる評価点のアンバランスが、その後の処遇との間に相関関係があることを示した。これは、認知的なアンバランスが大きいこと自体が養育環境の中での混乱要因の一つであるだろうという直感的な仮説を実証したものである。本論においてはサンプルとなる事例を増やし、その上で同様の傾向が見られることを示す。さらに子どもを家庭で養育するための困難要因が低減すると、この相関が減衰することを示す。
著者
田中 康雄 内田 雅志 久蔵 孝幸 福間 麻紀 川俣 智路 伊藤 真理 美馬 正和 金井 優実子 松田 康子
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター = Research and Clinical Center for Child Development, Faculty of Education, Hokkaido University
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-9, 2010

2009年に行ったわれわれの「発達障害のある方々への生涯発達支援の実践研究」について報告した。まず、発達障害は生活障害である。その視点に立つことで、われわれの実践研究を(1)養育者支援に関する研究、(2)保育・教育現場における支援研究、(3)特殊な生活環境における支援研究、(4)ADHDに関する調査研究と分類して、生活環境を中心に包括的な検討をした。われわれが向き合う「あなた」は、当初は養育者、次に当事者、さらにかれらを取り巻く関係者となる。同時に、われわれには、関係者といかに手を携えて総合的な支援策を構築するか、ということも求められる。最後に連携・ネットワーク作りからノットワーク作りへという移行を提案した。