著者
栗山 進一 久野 昭太郎
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.88-95, 1998-12-15
被引用文献数
2

体格の評価には,体重過多(overweight)の有無,肥満(obesity)の有無,内臓脂肪分布の少なくとも3つを知らなければならない。肥満の判定基準としてBody Mass Index (BMI)が多用されているが,これをそのまま体重過多の判定に用いることができるかどうかは議論が必要である。そこで,BMIとローレル指数(体重/身長^3)を比較し,体重過多の判定基準について検討した。この結果,体重過多の指標としてはローレル指数の方がより有用である可能性が示された。一方BMIは,高身長者の場合,有病率からみて適正体重範囲であっても体重過多と判定することがあり,逆に,低身長者では,有病率からみて体重過多であっても適正体重範囲であると判定する可能性があり,注意が必要であることがわかった。標準体重算出にBMIが基盤となることが多いが,一考を要する結果となった。
著者
三河 一夫 久野 昭太郎 犬塚 勉
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.75-86, 1997-12-15
被引用文献数
3

飲酒,喫煙習慣を考慮のうえ,血圧とBMIおよび体脂肪率の関連性について,単年度の健診データをもとに分析した結果,血圧は体脂肪率よりもむしろ,BMIと,より強い関連性を有していた。また,血圧とBMIおよび体脂肪率について一年間の変化をみると,血圧の変化の程度は,体脂肪率の変化の程度よりもむしろ,BMIの変化の程度と,より強い関連性を有していた。これらのことから,血圧に対する肥満の影響を考えるうえで,BMIは体脂肪率に比べ,より鋭敏で,安定した肥満の指標であることが示された。