著者
三河 一夫 上島 弘嗣 犬塚 勉 立澤 惇 相模 嘉夫
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.314-319, 1992-12-15

貧血や肝障害がなく比較的栄養状態が良好な場合でも,飲酒者では何らかの機序を介して平均赤血球容積(MCV)が増大することがこれまでの研究報告より知られている。一方,MCVの増大に喫煙が関与しているとする報告もある。そこで本研究では、大同生命大阪診療所の成人病検診を受診した35歳以上の男子255名の成績を基に,飲酒と関係の深いγ-GTPをMCVと対比させつつ,喫煙習慣を考慮のうえMCVと飲酒の関連について検討した。分析の結果,喫煙習慣を考慮してもなお,飲酒はMCVと有意な正の関連を示した。貧血や肝機能障害がないにもかかわらず,一日当たり日本酒換算で2合以上の多量飲酒者では,ほとんど飲酒しない者に比べて喫煙の有無を問わずMCVが有意に大きかった。また,MCVはγ-GTPに劣らず飲酒と強く関連していた。以上より,断面的調査の範囲内ではあるが,飲酒の指標としてのMCVの有用性が示唆された。
著者
三河 一夫 久野 昭太郎 犬塚 勉
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.75-86, 1997-12-15
被引用文献数
3

飲酒,喫煙習慣を考慮のうえ,血圧とBMIおよび体脂肪率の関連性について,単年度の健診データをもとに分析した結果,血圧は体脂肪率よりもむしろ,BMIと,より強い関連性を有していた。また,血圧とBMIおよび体脂肪率について一年間の変化をみると,血圧の変化の程度は,体脂肪率の変化の程度よりもむしろ,BMIの変化の程度と,より強い関連性を有していた。これらのことから,血圧に対する肥満の影響を考えるうえで,BMIは体脂肪率に比べ,より鋭敏で,安定した肥満の指標であることが示された。