- 著者
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乾 直輝
須田 隆文
千田 金吾
- 出版者
- 日本臨床免疫学会
- 雑誌
- 日本臨床免疫学会総会抄録集 第35回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
- 巻号頁・発行日
- pp.12, 2007 (Released:2007-10-12)
肺および気道における免疫機構の特色は、豊富な血流を介した抗原のみならず、外来性の病原微生物や異物などの吸入抗原に対しても効率的に免疫反応を働かせる必要があるため、気道粘膜における免疫機構が発達してきた点にある。今回の発表では、気道粘膜免疫の誘導組織としての気管支関連リンパ組織(bronchus-associated lymphoid tissue : BALT)およびその構成成分であり強力な抗原提示細胞である樹状細胞(dendritic cell: DC)に焦点を当てる。
BALTは,細気管支粘膜下にみられるリンパ濾胞で,抗原特異的な分泌型IgA 抗体産生細胞を気道に分布させるための誘導組織として気道の粘膜免疫の中心的な役割を担っている。このBALTの発生,過形成には持続する外来性の抗原刺激と感作Th2細胞から産生されるIL-4などのサイトカインが重要であり、BALTが発生・顕在化すると、IgA循環帰巣経路の誘導組織として吸入抗原を積極的に取り込み、抗原特異的なIgA抗体産生を誘導する。我々は健常ヒトでは存在しないBALTが,びまん性汎細気管支炎,慢性過敏性肺炎,膠原病関連肺疾患において顕在化することを明らかにし、病態との関連性を解明した。
また、抗原に対して効率的に免疫応答が働くために、DCが集積し活性化され、T細胞へ効率的に抗原提示を行う必要がある。肺では大部分のDCが肺胞および気道上皮直下間質に存在し、他の細胞と協調しながら免疫応答を進めているが、我々は肺DCが脾DCや他の抗原提示細胞と比較し強力なIgA誘導能を持つことを示した。呼吸器疾患や病態におけるDCの存在と機能を検討では、びまん性汎細気管支炎で細気管支領域の粘膜下組織に主として成熟したDCが集族し、small airwayにおける抗原提示に中心的な働きをしていた。またBCG誘導肺肉芽腫病変では、肉芽腫周囲にBCG投与14日まで増加するDCが観察され、更にこのDCはnaive及びBCG特異的T細胞刺激能を有した。