著者
亀井 秀策 寺本 龍生 渡邊 昌彦 石井 良幸 遠藤 高志 橋本 修 北島 政樹 向井 万起男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.725-729, 1999-08
被引用文献数
6 5

症例は37歳女性で, 1997年より強迫神経症にて他院入院中であった.1998年2月中旬より間欠的に腹痛を認めていたが, 3月5日疼痛著明となり腹部CT検査を施行され, 内ヘルニアまたは腸軸捻転症の疑いで翌6日当院を紹介され受診した.右回盲部に有痛性で弾性軟の手拳大の腫瘤を触知し, 腹部CTにて境界明瞭で数層の壁構造よりなる腫瘤を認め, 腸重積の診断にて緊急手術を施行した.開腹すると重積のため著明に肥厚した上行結腸を認め, 整復不能と判断し結腸右半切除術を施行した.切除標本では潰瘍形成を伴う盲腸腫瘍を認め重積の先進部となっていた.病理組織学的診断はneuroendocrine carcinomaであった.