著者
亀井 雄一 岩垂 喜貴
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.11-17, 2012-02

睡眠は,子どもの行動・発達において非常に重要である.しかし,子どもの睡眠に関する重要性はさほど浸透していない.日本では生活の夜型化と睡眠時間の短縮化が著しく,子どもにおいても同様である.睡眠時間の短縮や生体リズムの変調は,脳や身体の発達に影響を与える.また,肥満のリスク因子であることが指摘されている.さらに,日中の眠気,集中力・記憶力の低下,抑うつやイライラといった精神症状,頭痛・肩こりなどの身体症状を引き起こす.子どもの健康な生活のためには,適切な睡眠時間の確保と規則正しい生活習慣が重要である.子どもにとって,よい睡眠習慣とともに睡眠障害も見逃せない問題であるが,その対応も不十分である.その理由として,年齢によって出現しやすい睡眠障害が異なること,子ども特有の症状を示すこと,などが考えられる.本稿では,子どもの睡眠習慣とその問題点,子どもによくみられる睡眠障害とその特徴,行動・発達障害にみられる睡眠の問題,について概説する.よい睡眠習慣と睡眠障害の適切な診断・治療が,子どもの発達と生活のために重要である.