著者
山城 大 相原 正男 小野 智佳子 金村 英秋 青柳 閣郎 後藤 裕介 岩垂 喜貴 中澤 眞平
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.372-377, 2004

交感神経皮膚反応 (sympathetic skin response; SSR) は情動表出反応として出現することが報告されている.情動機能を評価する画像をオリジナルに作製し, これらを視覚刺激として呈示した際に出現するSSRについて健常小児と健常成人で比較検討した.小児では成人に比し高いSSR出現率を認めた.さらに, 不快な画像におけるSSR出現率は, 成人では生理的に不快な画像に比し暴力行為などの非社会的画像で有意に高かったが, 小児においては両者に明らかな差異を認めなかった.このことから, 小児期から成人にいたる情動的評価・意義の相違と変化は, 情動発達に伴う推移を示すものと思われる.情動の客観的評価に視覚刺激によるSSRが有用であると考えられる.
著者
亀岡 智美 齋藤 梓 友田 明美 八木 淳子 岩垂 喜貴 井野 敬子 酒井 佐枝子 飛鳥井 望 新井 陽子 成澤 知子 田中 英三郎 山本 沙弥加 高田 紗英子 浅野 恭子 島 ゆみ 中島 淳 竹腰 友子 西村 悠哉 三宅 和佳子 野坂 祐子 小平 雅基 市川 佳世子 岩切 昌宏 瀧野 揚三
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、欧米で子どものPTSDへの第一選択治療として推奨されているTF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy)の我が国における効果検証に取り組んだ。兵庫県こころのケアセンターと被害者支援都民センターにおいて実施した無作為化比較試験が終了し、先行研究と同様に、わが国においてもTF-CBTの有効性が検証された。結果については、論文にまとめ、報告する予定である。その他の研究分担機関においても、TF-CBTの終了例が蓄積された。TF-CBT実施前後のMRI画像分析については、福井大学子どものこころの発達研究センターで7例を分析した。
著者
亀井 雄一 岩垂 喜貴
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.11-17, 2012-02

睡眠は,子どもの行動・発達において非常に重要である.しかし,子どもの睡眠に関する重要性はさほど浸透していない.日本では生活の夜型化と睡眠時間の短縮化が著しく,子どもにおいても同様である.睡眠時間の短縮や生体リズムの変調は,脳や身体の発達に影響を与える.また,肥満のリスク因子であることが指摘されている.さらに,日中の眠気,集中力・記憶力の低下,抑うつやイライラといった精神症状,頭痛・肩こりなどの身体症状を引き起こす.子どもの健康な生活のためには,適切な睡眠時間の確保と規則正しい生活習慣が重要である.子どもにとって,よい睡眠習慣とともに睡眠障害も見逃せない問題であるが,その対応も不十分である.その理由として,年齢によって出現しやすい睡眠障害が異なること,子ども特有の症状を示すこと,などが考えられる.本稿では,子どもの睡眠習慣とその問題点,子どもによくみられる睡眠障害とその特徴,行動・発達障害にみられる睡眠の問題,について概説する.よい睡眠習慣と睡眠障害の適切な診断・治療が,子どもの発達と生活のために重要である.