著者
木村 祐哉 亀島 聡 伊藤 直之
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.29-38, 2020-11

日本国内では1割以上の世帯が何らかのペットを飼育していると推定されるが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴うペット飼育者への影響は定かではない.そこで我々は,人や動物への病原性・感染性,生活スタイルや経済状況に与える影響のイメージをLikert尺度で,COVID-19の影響による飼育方法の変化,不安,困っている点を自由記述で訊ねるオンライン調査を実施した.2020年5月20日から6月3日の14日間で,特定警戒都道府県61名とその他の地域14名の,計75名から有効回答が得られた.規制が強かった場合には,動物病院やペットショップなどの利用が困難となることで,飼育・健康維持に影響が及んでいた.また,人や動物への感染による病原性への不安があるだけではなく,動物の外出制限など飼育形態が変化し,家族が感染した場合の預け先の確保が課題となっていた.このような心理・社会的困難は,COVID-19に限らず,今後起きうる未知の新興感染症の流行時や,また時には自然災害発生時など,生活スタイルの変化を余儀なくされる状況において共通にみられると推測される.