著者
木村 祐哉 金井 一享 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 伊藤 直之
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.35-38, 2015-03-20 (Released:2016-03-24)
参考文献数
4

動物病院利用者における医療用語の普及の程度については,これまで明らかにされていない。本報告は,3軒の動物病院で利用者に質問紙への協力を求めたものである。参加者には25項目の用語について聞いたことがあるか,聞いたことがあるならばさらに正しく理解をしていたのかを訊ね,回答は理解度と誤解度として頻度および95%信頼区間で示した。男性22名,女性78名,その他の性自認2名(無回答8名)の計110名の協力が得られ,年齢構成は20代以下が9名,30-50代が76名,60代以上が18名(無回答7名)であった。重複含め飼育されていた動物は犬が73頭,猫32頭,その他9頭であった。理解度は2.0-99.0%,誤解度は0.0-32.4%であり,医療用語の使用に対する配慮の必要性を支持する結果となった。
著者
木村 祐哉 金井 一享 伊藤 直之 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 川畑 秀伸 前沢 政次
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2016-07-20 (Released:2017-01-24)
参考文献数
17

ペット喪失に伴う深刻な心身の症状が2カ月を超えて持続する場合には,医師による対応が必要である可能性が高いと考えられる。東京および愛知の動物火葬施設で利用者に対して精神健康調査票(GHQ28)による追跡調査を実施したところ,死別直後で22/37名(59.5%),2カ月後で17/30名(56.7%),4カ月後で11/27名(40.7%)の遺族がリスク群と判定された。また,心身の症状に影響のある要因として,遺族の年齢,動物との関わり方,家族機能が挙げられた。ペット喪失後の問題を減らすためには,こうした要因をもつ飼育者に獣医療従事者が事前に気づき,予防的な対応をとることが重要と考えられる。
著者
木村 祐哉 金井 一享 伊藤 直之 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 川畑 秀伸 前沢 政次
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2016

<p>ペット喪失に伴う深刻な心身の症状が2カ月を超えて持続する場合には,医師による対応が必要である可能性が高いと考えられる。東京および愛知の動物火葬施設で利用者に対して精神健康調査票(GHQ28)による追跡調査を実施したところ,死別直後で22/37名(59.5%),2カ月後で17/30名(56.7%),4カ月後で11/27名(40.7%)の遺族がリスク群と判定された。また,心身の症状に影響のある要因として,遺族の年齢,動物との関わり方,家族機能が挙げられた。ペット喪失後の問題を減らすためには,こうした要因をもつ飼育者に獣医療従事者が事前に気づき,予防的な対応をとることが重要と考えられる。</p>
著者
木村 祐哉 亀島 聡 伊藤 直之
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.29-38, 2020-11

日本国内では1割以上の世帯が何らかのペットを飼育していると推定されるが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴うペット飼育者への影響は定かではない.そこで我々は,人や動物への病原性・感染性,生活スタイルや経済状況に与える影響のイメージをLikert尺度で,COVID-19の影響による飼育方法の変化,不安,困っている点を自由記述で訊ねるオンライン調査を実施した.2020年5月20日から6月3日の14日間で,特定警戒都道府県61名とその他の地域14名の,計75名から有効回答が得られた.規制が強かった場合には,動物病院やペットショップなどの利用が困難となることで,飼育・健康維持に影響が及んでいた.また,人や動物への感染による病原性への不安があるだけではなく,動物の外出制限など飼育形態が変化し,家族が感染した場合の預け先の確保が課題となっていた.このような心理・社会的困難は,COVID-19に限らず,今後起きうる未知の新興感染症の流行時や,また時には自然災害発生時など,生活スタイルの変化を余儀なくされる状況において共通にみられると推測される.
著者
伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.701-708, 2013-10-20 (Released:2013-11-20)
参考文献数
59
著者
飯島 裕子 伊藤 直之 木村 祐哉
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.83-87, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
11

犬ニキビダニ症の6例(汎発性5例,局所性1例)に,アフォキソラネル2.7–5.6 mg/kgを初診時に経口投与し,その後は3–6週間隔で投与して効果を評価した。ニキビダニの陰転に必要な投与回数は,2例が1回,3例が2回,1例が3回だった。皮膚病変は,初診から4–12週間で全症例が回復した。飼育者への聞き取りと再診時の身体検査で,有害事象はなかった。全症例が最終診察から6ヶ月以上経過し,臨床症状の再発は認めていない。アフォキソラネルの投与は,犬ニキビダニ症の治療に有効であることが確認された。
著者
黒田 聡史 佐々木 伸雄 伊藤 直之 村岡 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.923-927, 2014-12-20 (Released:2015-01-20)
参考文献数
14

7カ月齢の日本猫が,左前肢の跛行と掌球部の石灰沈着に伴う白斑を主訴に来院した.血液検査では持続的な高リン血症がみられたが,血漿カルシウム値は正常範囲内であった.また,腎不全,甲状腺機能亢進症及び原発性上皮小体機能低下症は認められず,当初は血清中のビタミンD値が高値を示した.リン制限食給与並びにリン吸着剤の投与により,血漿無機リン(iP)値は有意に減少し,カルシウム・リン溶解度積も減少した.また,ビタミンD値は正常値に復した.しかし,血漿iP値は依然正常範囲より高値であった.跛行は改善したものの,掌球の石灰沈着症は初診から2年半以上にわたり観察された.本例の高リン血症の原因は明らかにできなかった.
著者
伊藤 直之 青木 美樹子 板垣 匡
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.683-686, 2005-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

青森県八戸地域の一般家庭で飼育されている1カ月齢~16歳齢の猫460頭から採取した糞便を対象に, ホルマリン・酢酸エチル沈澱法で消化管内寄生虫を検査した. 検出された寄生虫とその検出率はネコ回虫13.9%, ネコ鉤虫2.4%, ネコ糞線虫0.2%, マンソン裂頭条虫3.0%, テニア属条虫2.2%, イソスポラ属原虫2.0%およびジァルジア3.3%であった. ネコ回虫の検出率は1~6カ月齢の猫で高く, いっぽう, ネコ鉤虫, マンソン裂頭条虫およびテニア属条虫の検出率は2~5歳齢で高かった. さらに, 検出された寄生虫の多くはその検出率が室外飼育猫で高く, 室内飼育猫で低かった.
著者
松原 永吏子 山崎 孝 伊藤 直之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0110, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】肩関節疾患における理学療法において結帯動作の改善に難渋することは多い.一般的に結帯動作は肩甲上腕関節での伸展-水平伸展-内旋の複合運動とされているが,結帯動作の獲得には肩甲上腕関節の可動域だけではなく肩甲胸郭関節の運動が不可欠である.そこで肩甲胸郭関節に着目し,結帯動作に必要な運動について検討した.【方法】肩関節に異常のない健常成人40名,利き肩40肩を対象とした(男性20名,女性20名,平均年齢24.4歳).端坐位での安静時・L5レベル・Th7レベルでの結帯動作における脊柱と肩甲骨棘三角間距離(以下,棘三角距離),脊柱と肩甲骨下角間距離(以下,下角距離),spino-trunk angle(以下,S-T角),肩甲骨下角の挙上距離(以下,下角挙上)を体表より測定した.検討項目は,安静時からL5と安静時からTh7での肩甲骨の移動距離を男女別と男女間で比較検討した.統計処理は対応のないt検定を用い危険率5%で検定した.【結果】1.男性の肩甲骨の位置安静時・L5・Th7のそれぞれの肩甲骨の位置は,棘三角距離8.6±1.0 → 8.9±1.0 → 8.9±1.0 cm,下角距離10.2±1.1 → 9.6±1.5 → 9.5±1.4 cm,S-T角97.7±4.2 → 93.7±3.3 → 90.7±2.4°であった.安静時からL5と安静時からTh7のそれぞれの下角挙上は2.5±1.1 → 3.8±1.5 cmであった.L5とTh7での肩甲骨の移動距離の比較では,有意なS-T角の減少(p=0.005)と下角挙上(p=0.002)が認められた.2.女性の肩甲骨の位置肩甲骨の位置は,棘三角距離7.9±0.9 → 7.9±0.9 → 7.8±0.8 cm,下角距離9.2±1.2 → 8.6±1.2 → 8.4±1.2 cm,S-T角94.3±2.9 → 93.7±3.3 → 92.4±3.5 °であった.安静時からL5と安静時からTh7のそれぞれの下角挙上は1.4±1.0 → 2.4±1.3 cmであった. L5とTh7での肩甲骨の移動距離の比較では,有意な下角挙上が認められた(p=0.007).3.男女間によるL5とTh7間の移動距離の比較移動距離の比較では男性にS-T角の有意な減少が認められた(p = 0.004).【考察】結帯動作は通常L5レベルとされるが,女性の更衣動作等においてはTh7レベルで行われることもあり様々な高さでの動きが日常生活に必要である.肩甲胸郭関節の運動を男女別に検討したところ,結帯動作における肩甲骨の運動は男女で異なっていた.男性においては肩甲骨の下方回旋と挙上が,女性は挙上が特に重要と考えられた.より高位への動作を行うためには,肩甲胸郭関節の大きな運動が必要であることが示唆されたことから,肩関節疾患における結帯動作の改善のためには,肩甲胸郭関節の可動性も含めた治療が必要と考える.
著者
早瀬 彩乃 木村 祐哉 伊藤 直之
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-52, 2019-07-20 (Released:2020-01-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

獣医療従事者や獣医学生は過度なストレス状態におかれることが多く,メンタルヘルスの懸念が大きいと言われている。本調査は全国の獣医学生を対象としてウェブを介して行い,国際的なスクリーニングツールであるK6により,対象となった348名中89名(25.6%)が不安・気分障害と判定された。また,在学中の精神科受診歴,依存症,自殺念慮,自殺未遂はそれぞれ26名(7.5%),33名(9.5%),168名(48.3%),19名(5.5%)にみられていた。各要因ごとに不安・気分障害に関係するオッズ比をベイズ統計により推定したところ,事後期待値[95%確信区間]が高かったのは,精神疾患について誰にも相談できない場合2.40[1.15, 54.77],鳥取県中部地震で被災していた場合12.05[1.15, 54.77],精神科受診歴3.50[1.46, 7.13],自殺念慮17.62[8.30, 35.22],自殺未遂13.86[4.29, 37.04]であった。さらに所属大学および学年を変量効果として投入し,階層2項ロジットモデルで推定したところ,調整オッズ比が高かった要因は,精神疾患について誰にも相談できない場合2.75(1.32)[1.62, 4.73],鳥取県中部地震の被災経験22.67(4.57)[1.67, 669.78]であった。本調査により,日本の獣医学生においてもメンタルヘルスの問題が実在することが明らかとなったが,頻度やオッズ比には選択バイアスの影響が想定される。今後は正確な実態把握を行い,対策を検討することが必要であろう。
著者
伊藤 直之
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.49-55, 1996-04-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
24

猫に対するメデトミジン80μg/kgまたはキシラジン2mg/kg筋肉内投与後の嘔吐発生状況について比較検討した。嘔吐発生率はメデトミジン群では20.0%であり, キシラジン群は70.0%であった。嘔吐回数は両群とも1回のみの嘔吐発生例が最も多く, また, 平均嘔吐回数はメデトミジン群で2.1±1.7回 (平均±S.D.) , キシラジン群で2.0±1.4回であり大きな差はなかった。嘔吐発生時間帯は両群ともに2分台から3分台に集中していた。平均伏臥発現時間はメデトミジン群では3.2分±1.6分, キシラジン群では6.8分±5.8分であり, メデトミジン群に比較して遅延していた。以上の成績から今回の投与量においては, 鎮静期の事故発生や飼い主の不安感を軽減する目的のためには, 嘔吐発生率が低いメデトミジンの方が有効である可能性が示唆された。
著者
木村 祐哉 真田 菜生 今井 泉 小沼 守 宮下 ひろこ 矢野 淳 伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.349-355, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
16

一次診療4施設を受診した飼い主104名に対し質問紙法で解釈モデルを訊ね,言語データを対象とした質的手法であるSCATで理論抽出を試みた.飼い主の記述した解釈モデルは病因,病態と経過,治療方針の3カテゴリーに大別された.そのうち病因に対する認識は生物因子と状況因子に分けて考えられ,病態と経過に対する認識には受診理由,命あるいは生活の質(QOL)に関わる不安,病識と受容の様子が含まれた.治療方針に対する認識としては,決定の主体が誰か,動物及び飼い主にかかる負担がどの程度であるかが考慮されていた.各カテゴリーのこうした認識は,いずれもコンプライアンスや治療成績に影響を及ぼしうると考えられる.したがって,飼い主の解釈モデルを把握する際には,病因,病態と経過,治療方針のそれぞれについて確認する必要があることが示唆された.
著者
伊藤 直之 村岡 登
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-25, 2002-01-20
参考文献数
9
被引用文献数
3 1

一般家庭で飼育されている犬1, 542頭 (1カ月齢~17歳; 雄709頭, 雌833頭; 38品種) を対象に, <I>Isospom</I>のオーシスト検出状況を年齢, 飼育環境, 由来, 性別, 品種および糞便の性状とともに調査した. その結果, 1, 542頭中96頭 (6.2%) で<I>Isospom</I>オーシストが検出された. <I>Isospora</I> オーシスト検出率は, 1~6カ月齢群, 室内飼育群およびペットショップ・ブリーダー由来の犬で高かった. 性別による検出率の違いは認められなかった.品種では雑種において検出率が低く, チワワおよびパピヨンで高かった. 糞便の性状に関しては軟便ないしは下痢便の犬で検出率が高かった. さらに, 粘液や血液が混入した糞便を排泄している犬でも高い検出率が得られた.検出されたオーシストはその大きさから, <I>I. canis</I>および<I>I. ohioensis</I>であると考えられた.-
著者
伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.研究の目的<br><br>シビックプライド(Civic Pride)とは,市民が都市や地域に対して持つ自負と愛着である。筆者らは,平成26年度より,科研費基盤研究(C)一般「異学問・学校・地域との協働によるシビックプライドを育む小学校社会科地域学習の開発」にもとづき,子どもから大人までが,市民として自らの故郷にプライドが持てるような教育を考えるプロジェクトを発足した。<br><br> 本研究では,教科教育学研究者(伊藤直之)と工学(田中尚人・熊本大)・経済学(戸田順一郎・佐賀大)の各研究者が連携し,子どもたちや地域住民との協働を通して,地域社会をよりよい場所にするために関わろうとするシビックプライドの涵養という観点から,とくに小学校社会科を例にして,新しいあり方について検討してきた。<br><br> <br><br>2.シビックプライド教育のあり方<br><br>このプロジェクトでは,各自の所属や問題関心によって意見が少し食い違うことがあるものの,次の①~③についてはおよそ共通理解が得られている。それは,①より良いまちづくりの仕方やあり方については参会者が自ら「考えてみる」ことに意義があるのであり,企画側(教える側)があらかじめ望ましい答えを用意すべきではないこと,②自分たちがより良いまちづくりに関与しているという「当事者意識」をくすぐること,③一人で考えることも大事だが,さまざまな人々との交流を「きっかけ」にすることがさらに大事であること,などである。<br><br>そして,従来の社会科教育や地理歴史教育における性急な態度形成に対する批判に学べば,愛着や愛情の育成は,急いではならないし,目に見えるような成果を期待してはならないということかもしれない。だからこそ,筆者らはシビックプライドを「育成」ではなく「醸成」すると表現するのである。<br><br> そして,そもそもシビックプライドは,一つの教科に過ぎない社会科だけで担い得る教育目標だろうか。その答えは,当然,否である。社会科に限らず,教科の教育だけで育まれるものでもない。学校教育だけで完結するものでもない。ここに,実社会との連携であったり,教育関係者に限らず,さまざまな分野の人々と協働する可能性が生まれてくる。<br><br> 筆者らは,教育目標としてのシビックプライドを,「市民が地域社会や環境に対して持つ自負や愛着,そして,それらをより良くする能動的な参加の精神」と定め,それを先述のような押しつけや誘導に陥ることなく,開かれた形で学んでいくスタイルの教育を「シビックプライド教育」と定義し,その起点を小学校に設定し,徳島県や熊本県,佐賀県において,さまざまな地域学習の構想と実践を試みている。<br><br> <br><br>3.シビックプライドを醸成する学習<br><br> 筆者らがこれまでに取り組んできたシビックプライドを醸成する学習は,おおむね次のように整理することができる。①フットパスコースの提案,②未来予想マップづくり,③地域の諸課題についての価値判断の3つである。<br> 本発表(ポスター)では,上述の学習について,具体的な様子を示しながら,その成果と課題について考察することにしたい。
著者
山崎 孝 伊藤 直之 石田 登貴代 三谷 孝之 菅野 智也 中川 哲朗 松井 文昭 増田 真代 加畑 昌弘 大谷 尚之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】甲子園大会でのメディカルサポートを皮切りに、高校野球地方大会において各県士会でのメディカルサポートの取り組みが報告されている。しかし、中学生を対象としたサポート報告は少ない。今回福井県理学療法士会は、中学ボーイズリーグの大会期間中に選手のメディカルチェックを実施し、スポーツ障害予防の啓蒙活動を試みたので報告する。<BR>【方法】大会は日本少年野球連盟公認の福井大会で北陸・東海・関西地区から28チーム、906名の選手が参加した。平成18年7月22日~24日に行われ、試合会場は初日が10会場、2日目は4会場であった。サポートは初日と2日目の土・日曜日に、1会場で実施した。その会場で試合があるのは初日が6チーム、2日目が4チームで、メディカルチェックは当日に希望があったチームに試合の合間を利用して実施した。今回サポートに参加したPT は福井県アスレチックリハビリテーション研究会に参加しているPTで、初日9名、2日目13名であった。メディカルチェックの実施項目について、握力測定はOG技研社製デジタル握力計にて行い、肩関節外旋・内旋筋力は2nd肢位にてアニマ社製ミュータスF-1を用いて測定した。ROMは肩関節2nd内旋・外旋、肘関節屈曲・伸展、前腕回内・回外、SLR、股関節内旋の可動域とし、ゴニオメーターを用いて5°単位で両側測定した。FFD、上体おこしは1cm単位で測定し、腸腰筋と大腿四頭筋のタイトネスの有無と、しゃがみ込み動作の可否を調査した。実施方法は筋力・上肢ROM・下肢ROMの3セッションにPTを配置し、所要時間の短縮を図った。選手には測定中に値を伝え、投球側に機能低下がみられた場合は投球障害との関連性について説明し、測定後に集団でストレッチ指導を行った。また、大会参加全チームにストレッチ方法を記載した冊子とオーバーユースによる投球障害ついて説明したリーフレットを開会式の日に配布した。<BR>【結果】1.メディカルチェックを実施できたチーム数は初日4チーム、2日目が2チームで、両日での選手数は76名であった。2.メディカルチェックの結果では肩関節内旋(投球側38°、非投球側56°)、肘関節屈曲(投球側144°、非投球側148°)、肘関節伸展(投球側0°、非投球側4°)、前腕回内(投球側81°、非投球側88°)の可動域が非投球側に比べ、投球側が有意に低下していた。また、投球側の肘関節に-5°以上の伸展制限のある選手が26%にみられ、その半数は投手であった。<BR>【考察】選手・指導者・父兄が多く集まる大会期間中を利用してスポーツ障害予防の啓蒙を行った。甲子園出場を目指して中学から硬式野球をしている選手の4人に1人の割合で投球側の肘関節拘縮がみられていた。これは少年期からのオーバーユースが原因と考えられるため、少年期からの投球障害予防の啓蒙が求められる。今後はスタッフ数を増員し、より多くのチームに啓蒙していくことが課題である。<BR><BR><BR><BR>
著者
伊藤 直之 大谷 浩樹 山崎 孝 堀 秀昭 水野 勝則
出版者
新田塚医療福祉センター
雑誌
新田塚医療福祉センター雑誌 (ISSN:13492519)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-4, 2010-03-31

神経根症状を伴わない急性腰痛患者8例に対し、腰部運動時痛の軽減に焦点を絞り徒手療法を試みた。腰部運動時痛を発生する部位を抽出するために圧痛所見を確認し、圧痛が認められた椎間関節と仙腸関節にはモビライゼーションを、多裂筋と腰方形筋にはリラクゼーションの徒手療法を施行した。徒手療法の即時効果の判定には、腰部運動時痛の強さ、及び可動性運動時痛の強さ、及び可動性評価として腰椎後彎可動性テスト、長座位での体位前屈、上体反らしを徒主療法前後で測定した。その結果、腰部運動時の強さ、腰椎後彎可動性テスト、長座位での体位前屈、上体反らしのすべての効果判定項目で徒手療法後に有意な改善を認めた。徒手療法の即時効果の要因として、体幹伸筋群の筋スパズム軽減による伸張性向上や腰部可動性向上による機械的ストレスの軽減が挙げられ、これらの要因が腰部運動時痛の軽減に繋がったと考えられた。よって、徒手療法の即時効果として運動時痛軽減の効果が期待できることが示唆された。
著者
伊藤 直之 村岡 登 青木 美樹子 板垣 匡
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.579-582, 2004-09-20
被引用文献数
6

一般家庭で飼育されている1-6カ月齢までの犬358頭から採取した糞便を対象として、Giardia inesinalis抗原を酵素結合免疫吸着法(ELISA)により検出し、ホルマリン・酢酸エチル沈澱法によるシスト検出率と比較検討した。その結果、ジアルジア抗原陽性率(22.9%:82/358)は、同時に実施したシスト検出率(15.1%:54/358)に比較して有意に高かった(P<0.01)。抗原陽性率は、チワワをはじめとした小型室内飼育犬種で高く、雑種では抗原が検出されなかった。室内飼育犬の抗原陽性率(25.5%:79/310)は、室外飼育犬(6.3%:3/48)に比較して有意に高かった(P<0.01)。また、由来別ではペットショップやブリーダーケンネルに由来する犬の抗原陽性率(29.8%:79/265)が、一般家庭に由来する犬(3.2%:3/93)より有意に高かった(P<0.01)。
著者
伊藤 直之 伊藤 洋一 村岡 登 増田 健一 金井 一享 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-21, 2014 (Released:2014-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬139頭について,リンパ球増殖反応と定量的血清IgEレベルを検査した。検査した犬の103頭(74.1%)と73頭(52.5%)が,それぞれリンパ球増殖テストおよび血清IgEテストで,一つ以上の食物アレルゲンに対して陽性だった。多くの症例で複数の食物アレルゲンに反応し,しかも,反応しているアレルゲンは,リンパ球増殖テストと血清IgEテストで必ずしも同一ではなかった。これらの成績から,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬では,食物アレルゲンに感作されている割合が予想以上に高いことが示された。また,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬の中に、多くの食物アレルギーの症例が含まれている可能性が示唆された。犬の食物アレルギーの診断および治療には,除去食・暴露試験が必要とされることから,アレルゲン特異的なリンパ球増殖テストと血清IgEテストを同時に実施することは,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬において,除去食および暴露試験における食物アレルゲンの選択に有用であると考えられる。
著者
伊藤 直之 村岡 登 金井 一享 中尾 るり子 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 = Journal of Animal Clinical Research Foundation (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-23, 2008-03-20

一般家庭で飼育されている犬190頭および猫89頭から糞便を採取し,市販のELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)キットを用いてクリプトスポリジウム抗原を検出した。クリプトスポリジウム抗原は,犬では6.3%(12/190),猫では10.1%(9/89)の糞便から検出された。犬ではクリプトスポリジウム抗原の検出率は,糞便性状や年齢,性別,由来,生活環境のようなプロフィールと関連が認められなかった。同様に,猫においてもクリプトスポリジウム抗原検出とプロフィールとの間には,関連性が認められなかった。これらの成績から,一般家庭で飼育されている犬および猫において,クリプトスポリジウムの感染は,低率ではあるものの広く蔓延している可能性が示唆された。