26 1 0 0 OA 序文

著者
川本 思心
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-6, 2020-04

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に鑑み,本誌『科学技術コミュニケーション』は科学技術コミュニケーションの観点に則った事態の把握,分析,提言や解決に資することを目的に,関連する論考を募り,可能な限り速やかに公開することを目指す緊急小特集を企画する.本稿では,新型コロナウイルス感染症の科学技術コミュニケーション的な側面と事例,それを扱うことの意義を述べる.そして最後に本緊急小特集での具体的な編集方針について述べる.
著者
内村 直之
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.7-20, 2020-04

出現からたった3 ヶ月でその小さなウイルスは地球上の人間の価値観と行動を変えようとしている.自分たちを守るために科学者や政治家といった「専門家」のみならず,ごく普通の人まで考えなければならないこととなった.では,どんな情報が必要か? どういった課題や論点があるのか? 科学技術コミュニケーションの実例として『新型コロナウイルスを考える』という,ごく一般向けの記事をどう作るかを通して,これらについて考えてみたい1).この時,SARS について振り返るのも有益だろう.筆者は,科学コミュニケーターが記事を書くだけではなく,問題とその扱いをメタ的にとらえることで,現実がもたらす問題の把握と想定のやりかた,さらに科学技術コミュニケーションのあり方についてさらに広く考えようという人の参考になれば,と考えている.ご批判,ご批評を歓迎したい.
著者
種村 剛
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-50, 2020-04

新型コロナウイルス感染症の拡大をうけ,各国は感染症を抑制する手段として,ICT技術を用いて個人の行動を追跡する活動を行なっている.その方法の一つに,スマートフォンの近距離無線通信技術を用いて濃厚接触者を特定する,コンタクト・トレーシングがある.日本政府は2020年5月の段階で,コンタクト・トレーシングアプリの実用化を検討している.本稿は,コンタクト・トレーシングの概要を紹介するとともに,当該技術の社会実装に関する対話の場を創る際の論点を整理することを目的とする.一般に監視についてはプライバシーの侵害が課題になる一方で,コンタクト・トレーシングは「個人のプライバシーに配慮された監視手法」であることを確認する.しかし,それでもなお当該技術の社会実装の際にプライバシー侵害の可能性について検討する必要があることを指摘する.社会実装におけるプライバシー以外の論点として,コンタクト・トレーシングアプリを使いたくないが使わざるを得なくなることや,一度導入された技術の恒常化を挙げる.そして,当該技術の社会実装の対話の場において,科学技術コミュニケーターは,技術を用いて管理される側にある生活者の立場を代弁することが求められることを述べる.
著者
調 麻佐志 鳥谷 真佐子 小泉 周
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.21-30, 2020-04

新型コロナウイルス感染症対策における日本の「検査数」が十分かどうかについて,世界各国からも日本国内 からも多くの疑問の声が寄せられている.こうした対策方針については, 感染が引き起こす影響範囲は広範にわ たり複数の要素が複雑に関係するため,状況の一面のみ切り取るだけでは全体像が見えにくく,関係するセクタ ー間ですれ違いが発生している.そもそも,こうしたすれ違いは,日本の新型コロナウイルス感染症対策方針に 関するコミュニケーション不全として捉えることも可能であり,その不全の理由を明らかにすることは科学技術 コミュニケーションの役割として重要と考える. なぜ検査数が絞られてきたのか.政府の実行力だけに問題があるのではなく,新型コロナウィルス感染症対策 を効果的に実行するにあたって,システム的な阻害要因や見落とされている課題があることも考えられる. 本稿では,まず,システム思考の技法(因果ループ図)を使って新型コロナウイルス感染症に関係する状況を 可視化し,そのシステムとしての特徴を確認した.我々の因果ループ図は,「感染モデル」と「発症者対応モデ ル」から成り立っている.政府および専門家会議1)は,死者数,ついで重症者数を可能な限り減らすことを目標 に,「感染モデル」と「発症者対応モデル」を分離して対応してきた.その過程で注意を払っているのが,おそ らく医療資源の枯渇をさけることであり,これが一つの要因となり,これまで検査数を増やすことができなかっ たと考えられる. しかし,このやり方はそれぞれのモデルを別々に捉えた場合には合理的だが,二つのモデルの界面で発生する 深刻なシステム上の弱点があることが分かった.たとえば,検査のハードルを上げてしまうと,検査を受けずに 市中で活動する軽症の発症者を多く発生させ,感染機会を増大,新規感染者を増やしてしまう.これがあらたな 感染拡大を生み出す.そのことを考えれば,以下二つの方策の実行が必要となる. ① 感染機会の強力な削減策と保障の実施 一刻も早く封鎖等の措置あるいはそれに相当する感染機会の強力な削減策(休校や外出自粛・禁止,イベント 中止,都市封鎖など)を実施する必要がある. ② 医療資源への影響を抑えて検査が実施できる医療体制の導入と検査の徹底 検査を拡大するために,韓国で有名なドライブスルー検査・ウォークスルー検査をネット問診などと組み合わ せて実施するなど,医療資源との繋がりを最小限にした検査システムを導入することが求められる. つまり,初期段階においては感染源を見出すクラスター対策等の方針をすすめることで対応が可能であったも のの,感染が一定程度広がり,医療資源を逼迫する現状においては,二つのモデルの界面で発生する深刻なシス テム上の問題に対して,市中で感染を拡大させる軽症者(および不顕性感染者)による感染拡大を抑えるため, 検査数を増やすなど両面作戦の必要があると考えられた.また,市民においても,マスクや手洗い等の感染予防 策をとるとともに,感染機会を減らすための行動変容が求められることが,因果ループ図から明らかである. 本事例は,市民,専門家ともに状況をシステム全体で理解し,その理解を共有することの重要性を示す一例で あろう.
著者
内村 直之
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.47-56, 2017-01

一般の人にはなじみの薄い「物理学の成果」をどうすれば理解してもらうことができるだろうか.わかりやすさと正確さの両方を求めなければならない,という科学コミュニケーションにとって永遠の課題ともいえるこの問題について,2016年のノーベル物理学賞となった「トポロジカル相転移及び物質のトポロジカル相の理論的発見」という業績を材料に考察した.新聞,放送などのメディアに登場した解説を紹介・比較した上で,その材料となったノーベル財団の発表資料も吟味した.そこでは,一般向け解説にはどんな要素が必要かという私見を提示した.以上の分析をもとに,一般の人に理解してもらえる記事を書くにはどうすればよいかをまとめた.
著者
津田 和俊 伊藤 隆之 菅沼 聖 高原 文江 朴 鈴子 山田 智穂
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.99-110, 2017-12

山口情報芸術センター・通称「YCAM(ワイカム)」は,山口市にあるアートセンターである.2003 年の開館以来,メディアテクノロジーを用いた新しい表現を模索しており,展覧会や公演,映画上映,ワークショップなど多彩なイベントを開催している.YCAM の取り組みは,メディアアートやパフォーミング・アーツを軸にしつつも,近年では,スポーツや遊び,食,さらにはバイオ・リサーチまで拡がりを見せている.これらの取り組みの基盤には,YCAM の内部に設置された研究開発チーム(YCAM InterLab)の活動がある.本稿では,まずYCAM の概要やInterLab の紹介を行い,続いて,芸術表現,教育,地域といった3つの分野における具体的な作品や展覧会の事例を紹介する.そして,最後に,近年飛躍的に発展するバイオテクノロジーに取り組みはじめた「YCAM バイオ・リサーチ」プロジェクトについて紹介する.
著者
一方井 祐子 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.57-70, 2016-07

2011年3月11日に発生した東日本大震災および福島第一原発事故(以後、震災と略す)以降、科学コミュニケーター自身がどのように考え行動したのか、彼らの肉声を集め調査したものはない。筆者らはウェブ調査から震災以降に活動に限界を感じた職業的科学コミュニケーターが5割にのぼること、さらに科学コミュニケーターの活動が限定的であることへの批判に対し、約8割の職業的科学コミュニケーターが妥当である、または比較的妥当であると考えていることを明らかにし、さ らに、「スキル・専門性・感情」の3つの壁があることを見出した。ワークショップではこれらのデータをもとに、普段、使っているスキルをもって貢献活動にあたることが有効であることが議論された。本研究ではこれらに加え、科学コミュニケーターが適切なデータや見解を示す科学者集団と共にグループを組んで活動することで、これらの壁を乗り越えられる可能性があることを提案する。
著者
種村 剛
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.69-81, 2018-12-27

本稿は,主に『科学技術基本計画』(『基本計画』)を対象として,科学技術コミュニケーション(SC)とリスクコミュニケーション(RC)の位置づけについて,概念分析を用いて整理することで,次のことを明らかにした.第一に1990 年代に実施されていた参加型テクノロジーアセスメントが『基本計画(第3期)』でSCに組み込まれた(6章).第二に,RC概念が登場した『基本計画(第4期)』では「社会と科学技術イノベーションの関係の深化」を背景に「RCも含めたSC」が文言として示された(7章).第三に『基本計画(第5期)』ではRCは「共創的科学技術イノベーション」の推進に資するものとされた(8章).SCとRCの関係を整理したことで『基本計画(第3期)』におけるRCと『基本計画(第5期)』に示されたRCは,その内容を大きく変えていることを示した.
著者
菊池 結貴子 江崎 和音 中島 悠 石川 遼子 伊與木 健太 正田 亜八香 音野 瑛俊
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.3-13, 2017-01

近年,科学者と非科学者がテーブルを囲んで気軽に語り合う「サイエンスカフェ」が日本で広がりつつあり,開催回数・開催場所ともに急激に増加している.それに伴って,サイエンスカフェの形式も多様化してきており,現在では実に様々な形式のサイエンスカフェが開催・報告されている.本稿では,こうしたサイエンスカフェの多様性の一端として,著者らの運営するイベント「BAPcafe」を取り上げ,その運営方法と実施実績を詳述するとともに,実施記録や参加者へのアンケートをもとに,BAP cafeの特徴と効果および今後の課題について考察を行った.BAP cafeではサイエンスカフェの要素の一つである「わかりやすく説明すること」よりも,「専門的な内容について濃密な議論を展開すること」に重点を置いており,サイエンスカフェの新たな一形式として著者らは位置づけている.スピーカーと参加者の間のみならず,参加者同士,スタッフと参加者の間での対話が自然に起こり,議論が盛り上がる点が特徴であり,参加者からは,スピーカーとの距離が近く,“マニアック”な話題を共に楽しみながら深く議論を交わせるといった評価を得ている.専門性の高い内容はサイエンスカフェでは避けられがちであるが,BAP cafeではそれが長所となり,参加 者を獲得して継続的な開催につながっている.
著者
吉澤 剛
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.31-37, 2020-04

ノルウェーにおける新型コロナウイルスの感染拡大は4 月上旬にコントロール下に入ったとされ,社会的機能を少しずつ再開していく方針が発表された.政府の危機対策管理は分散的な構造となっており,省庁間の調整支援機関が機能を発揮している.ノルウェー公衆衛生研究所(NIPH)では,多様な市民に対するわかりやすい情報やアドバイスのほか,最新の学術研究の見取り図も提供するなど,俯瞰的で包括的な活動を展開する.ノルウェーの専門機関は,過去の危機において市民とのコミュニケーションにたびたび失敗しているものの,政府や専門家に対する市民の信頼は篤く,情報を通じて伝えられる専門家の知的謙虚さや個人的感情をもとに冷静に判断を下しているとみられる.この冷静さはコロナ以後における新たな日常の「奇妙さ」と対峙し,それを保持していく鍵でもある.
著者
一方井 祐子 マッカイ ユアン 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.55-67, 2018-12

近年,インターネットで不特定多数の公衆から資金支援を募るクラウドファンディングが注目され,研究者も研究資金の獲得にクラウドファンディングを利用するようになった.予算の多元化が推奨される中,クラウドファンディングが新たな科学技術のパトロネッジ(第4のファンディング)として利用されていく可能性は高い.科学コミュニティにおけるクラウドファンディングを議論する上では,参加者の動機づけや問題意識の整理が欠かせない.しかし,これまで,研究者がどのような意識でクラウドファンディングに参加してきたかを調べた調査は少なかった.そこで本稿では,学術系クラウドファンディングに参加した日本の研究者を対象に意識調査を行った.その結果,研究者の主な参加動機は,第一に研究資金の獲得であり,ファンディングの側面が強かった.また,自身の研究のアピール,研究の面白さを伝えることが重視されていた.学術系クラウドファンディングには双方向コミュニケーションを促進させる場がいくつかあるが,現状としては,学術系クラウドファンディングは主に一方向的な情報伝達のコミュニケーションツールとして活用されている.
著者
中島 悠 江崎 和音 菊池 結貴子 宮武 広直 安藤 康伸 生出 秀行 横山 広美 音野 瑛俊
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.59-75, 2017-06

大学院生出張授業プロジェクト(BAP)は,2008年に発足した学生団体であり,「高校生に研究の 魅力を伝える」「出張授業を全国の大学院生の文化にする」という2つの理念を掲げて活動を行ってきた.出張授業の実施先はメンバーである大学院生の出身高校を想定しており,これは大学院生・ 高校生の双方にメリットの存在する形態である.これまでの出張授業件数は129件,延べの受講者 は6,600人を超え,全国各地の高校で出張授業を実施してきた.東京大学大学院の全学から多様な 専門分野のメンバーが集まり,長年蓄積されたノウハウや,他分野の講師に対して行う高校生目線 でのアドバイスにより,授業を受けた生徒からの高評価を実現している.本報告では大学院生への 支援方法やこれまでの実施実績,生徒から得られたアンケート結果からBAPという形態の特徴を 考察すると共に,活動の継続と共に出てきた運営上の問題についても議論する.
著者
福井 沙羅
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.85-97, 2017-12

2017 年8月6日から10 月1日の間,「芸術祭ってなんだ?─ガラクタの星座たち」というテーマのもと,札幌市内を中心に約44 の会場を設置し札幌国際芸術祭2017(Sapporo International Art Festival 2017,以下,SIAF2017)が開催された.「SIAF2017」は,近年急激に増え続けている「○○芸術祭」といった地域名を冠した芸術祭の中では比較的歴史が浅く,2014 年より数えてこれが2回目の開催となる.ゲストディレクターに大友良英氏を迎え,彼を含む数名で構成された「バンドメンバー」たる企画運営チームが,各展示を運営していく構成であった.サウンドインスタレーションやパフォーマンス,一回性重視のイベントといったテンポラリーな性質を持つ作品が比較的多数を占めたが,それ以外にも重要なプロジェクトや興味深い試みも行われており,今回の報告では,「SIAF2017」で我々は何を見たのか(あるいは「SIAF2017」が何を提示したのか)ということを主軸に,大友氏が投げかけた問いへの応答に注目しつつ芸術祭を振り返る.その際,会期中にボランティアや様々な形で外部から芸術祭に関わった執筆者自身の見聞きした情報や,企画者への取材内容等を素材とし,三つの軸から具体的にいくつかの作品とプロジェクトを挙げて報告していく.
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
巻号頁・発行日
pp.1-24, 2019-03-29

本書は、北海道大学CoSTEP が運営し、平日週4日、記事を発信するSNS『いいね! Hokudai』から、2018年の台風20号・21号、北海道胆振東部地震の関連記事をまとめたものです。北海道大学CoSTEP:アーカイブサイト『いいね! Hokudai』http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/
著者
田中 佐代子 小林 麻己人 三輪 佳宏
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.41-57, 2017-06

研究成果の理解を助けるビジュアルデザインは,研究者にとり重要な位置を占めるようになった.しかし研究者自身によるビジュアルデザインは,煩雑でわかりにくく,審美性の低い場合が多い.そこで私たちは,研究者のために有用なビジュアルデザインのルールについて考察した.まず,研究者に即したビジュアルデザインのルール案を考案し,それを掲載したハンドブックを作成した.次に,これを研究者に配付し,彼らに対するアンケート調査を介して,提案ルール案の研究者にとっての有用性と問題点を検証した.その結果,有用と判明したのは,第1に「画面の構成方法」に関するルール,特に「視線の流れを意識する」,第2に「効果的な配色方法」に関するルール,特に「3色(メインカラー,アクセントカラー,無彩色)でキメる!」,第3に「PowerPointによる描画」に関するルール,特に『頂点の編集』をマスターする」であった.一方,有用性が低いとされたのは「グラフ・表・フローチャート」に関するルールで,改善の余地があるとわかった.配布ハンドブックは概ね評判が良く,国内の理系研究者に有用とわかった.学ぶ機会が少ないデザインの基本ルールと技術を学習できたため,「役立つ」実感を与えたと推察する.
著者
標葉 靖子
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.25-36, 2018-07

オバマ政権(2009-2016)は,米国の科学技術イノベーション政策における重要な省庁横断的な優先事項の一つとしてSTEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)教育の振興を掲げ,連邦政府レベルでのSTEM 教育への財政支援を積極的に行ってきた.ところが2017 年1 月に就任したトランプ大統領は,そうしたSTEM 教育推進の流れを大きく転換させるかもしれない.そこで本稿では,まずオバマ政権におけるSTEM 教育への優先的な予算配分について概説した.その上で,2017 年5 月にトランプ大統領が発表した2018 年度予算教書におけるSTEM 教育関連予算要求の詳細を確認した.トランプ予算教書では,これまでオバマ政権とは対照的に,STEM 教育関連予算が前年度比47.1%減の大幅削減要求となっていた.上下両院の予算委員会で作成・可決された2018 年度予算決議案では,STEM 教育関連予算の総額はいずれも前年度とほぼ変わらない水準となっているものの,当該政権が何を重視しているかがその予算案に色濃く反映されることを鑑みれば,トランプ政権が科学技術全般やSTEM 教育に対してこれまでのような重点投資のビジョンを有していないことは明らかであるといえよう.日本と米国では状況が異なるものの,米国のイノベーション政策動向は日本の科学技術イノベーションならびにSTEM 教育関連政策にとって参照点も多く,トランプ政権下での米国STEM 教育関連予算の動向について,日本においても引き続き注視していく必要がある.
著者
標葉 靖子 福山 佑樹 江間 有沙
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.45-54, 2018-12

近年,科学技術が高度に発展していることに伴い,科学技術と社会を取り巻く問題もまた複雑化してきている.本研究では,そうした科学技術と社会を取り巻く問題への多角的視点を涵養することを目指し,大学1,2年生を対象とした,学生自らが科学技術と社会をテーマとしたシリアスゲームを作成する「科学と社会をつなぐゲームデザイン」授業の開発・実践を行った.本稿では,当該授業の実施概要を報告するとともに,当該授業を受講した学生のふりかえり・レポート記述の内容から,「科学技術と社会」について考える上で,ゲーム作成というプロセスを活用することの可能性と課題について考察する.