著者
小平 正和 澁澤 栄 二宮 和則 加藤 祐子
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.110-121, 2009
被引用文献数
2

リアルタイム土壌センサ(RTSS)を用いて大規模畑作地の効率的な圃場マッピング手法の開発を行った.</br>具体的には,土壌観測ラインと圃場マップの表示に注目した.一筆管理は慣行法の対角線とし,局所管理は定幅散布機の走行間隔として圃場全面を観測した.圃場マップは,営農者が理解し易いグリッドマップとした.グリッドマップの特徴は,グリッド内に平均値と最大値および最小値を表示した.</br>RTSSの主な改良点は,土壌観測速度を慣行の2倍(0.56 m/s)にした.高速化による検量線の感度変化をPLS回帰分析により解析した.得られた決定係数(R <sup>2</sup>)は,土壌水分(0.77),有機物含有量(0.49),pH(0.53),硝酸態窒素(0.09),全窒素(0.86)および全炭素(0.95)であった.硝酸態窒素は,分析ミスにより土壌試料数が減ってしまったので,参考として記載した.</br>RTSSの高速化により,4圃場で11 haの大規模畑作地に対して1 ha約1時間の観測作業速度を得た.</br>本研究の最大の成果は,営農者が過去の経験として圃場内にライムケーキを多量に溢した場所があることを,圃場マップから正確な位置情報として,確認できたことである.そして,RTSSが意思決定支援の1つとして,営農者に認められたことである.<br>