著者
大枝 昭平 木村 洋介 二木 友子 鳩貝 名津紀 本橋 直美 宍戸 衛 山口 龍志郎 中川 裕司
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.231-237, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
5

Pfizer社製新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」を接種した当法人の医療従事者56名を対象として抗新型コロナウイルスIgG抗体の測定を行った。測定は全自動化学発光酵素免疫測定システム ルミパルス®G1200および,化学発光酵素免疫測定法試薬SARS-CoV-2 S-IgG測定試薬(IC)(H.U.フロンティア株式会社)を使用した。測定の結果,対象者すべてにカットオフ値1.0 AU/mL以上の抗体価獲得を認め,最小抗体価10.5 AU/mL,最大抗体価227.2 AU/mL,中央値62.2 AU/mLを得た。獲得される抗体価の多寡に影響を及ぼし得る因子として性別,年齢,BMI,既存B型肝炎ウイルス抗体価,および飲酒・喫煙習慣の有無に着目して解析を行った結果,抗体価の多寡は年齢の影響を最も大きく受け,その影響は統計学的有意差を生じさせ得ると分かった。その他の因子については統計学的有意差を生じさせないものの,飲酒習慣の有無,既存B型肝炎ウイルス抗体価,BMI,喫煙習慣の有無,性別の順に影響力を持つことが明らかとなった。本稿によって,B型肝炎ワクチン不応者であっても抗体獲得が可能であることが示された一方で,今回の検討因子以外の影響因子の検討の必要性が示唆された。