著者
長田 亨 五十嵐 俊成 吉田 慎一
出版者
北海道農事試驗場北農會
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.2-9, 2013 (Released:2014-03-06)

「ゆめぴりか」の品質・食味管理目標を検証し,これを満たす栽培指針を策定した。アミロース含有率19%未満となる予測指標として出穂期後20日間日平均気温積算値430℃以上が有効である。また,出穂期判断の目安としてDVR法による出穂期予測モデルを作成した。出穂期後20日間日平均気温積算値430℃以上を確保できる出穂期晩限と出穂期予測モデルから,平年気象でアミロース含有率19%未満となる移植晩限の算出が可能である。タンパク質含有率7.5%未満の「ゆめぴりか」を生産するには,タンパク質含有率が高まりやすい圃場への作付けを避け,施肥標準量の窒素施肥を行うこと適切である。収穫適期は出穂期後日平均気温積算値で950~1000℃が目安となる。
著者
五十嵐 俊成 花城 勲 竹田 靖史
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.5-12, 2008 (Released:2008-04-03)
参考文献数
47
被引用文献数
5 6

澱粉の分子構造と糊化特性を北海道米「ほしのゆめ」,「きらら397」,「彩」を秋田米「あきたこまち」と比較して解析した.北海道米3品種の澱粉の結晶型はCa型,「あきたこまち」はA型を示した.真のアミロース含量は,「ほしのゆめ」,「きらら397」が18%で「彩」,「あきたこまち」より約2%高かった.RVAによる熱糊化特性は「ほしのゆめ」,「きらら397」で最高粘度が低く,ブレイクダウンが小さく,冷却時の粘度増加が高いが,「彩」,「あきたこまち」は最高粘度が高く,冷却時の粘度増加は低かった.アミロースのヨウ素親和力は「ほしのゆめ」,「きらら397」が約19で「彩」,「あきたこまち」よりわずかに小さく,数平均重合度(DPn)は「ほしのゆめ」と「きらら397」が「あきたこまち」とほぼ同じ(~900)で,「彩」(~1000)がやや大きかった.平均鎖数は2~3であった.数分布は北海道3品種とも「あきたこまち」より広かった.アミロペクチンのヨウ素親和力は「ほしのゆめ」,「きらら397」が0.5で,「彩」,「あきたこまち」より2.5倍高く,DPnは「あきたこまち」(9400)が最も大きく,「彩」(7600)が最も小さかった.平均鎖長は北海道3品種が19で「あきたこまち」より1-2残基短く,β-アミラーゼ分解限度は「あきたこまち」よりわずかに高かった.アミロペクチンLC含量は,「ほしのゆめ」と「きらら397」は「あきたこまち」に比べて約3.5倍であった.以上のことから,「彩」は見かけのアミロース含量が「あきたこまち」と同じ程度で,他の北海道品種に比べ冷却時の粘度増加も改善されているが「あきたこまち」よりも高く,熱糊化特性の差異の要因としてアミロース分子量分布やアミロペクチン鎖長分布の影響が示唆された.したがって,今後の良食味育種では低アミロース含量の選抜に加えて澱粉の分子構造に着目し,特にアミロペクチン超長鎖(LC)の少ない品種選抜が必要と考えられる.