著者
中村 博 島野 毅八郎 森田 四郎 五月女 茂 田中 昇
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, 1973-06-25

1.剖椥列.60才,男,昭和34〜37年まで肺結核.47年7月より左視力低下,眼痛あり,両鎖骨下リンパ節腫大.右上肺野陰影拡大.リンパ節病理所見は腺癌を混じえた類表皮癌.コバルト照射,抗癌剤を併用,患者の強い希望で左眼全摘後,癌性心のう炎をおこし9月25日死亡.部倹で肺は陳旧性結核病巣疲痕を混ずる腺癌で,一部類表皮型.眼球は異型の著しい未分化癌と腺癌で原発肺癌の像に一致する.2.非剖検例。76才,男,昭和46年3月より左眼痛.8月全摘,転移性腺癌といわれ,内科で左肺の貨幣状陰影を原発と考え,コバルト照射,抗癌剤併用するも,47年1月より悪化,4月死亡せり.眠症状を初発とする原発性肺癌は稀なものといわれているが,肺癌の増加と共に,頻度も上昇すると考え呈示した.