2 0 0 0 OA 地割の進展

著者
井上 修次
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.51-79, 1960-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1. 地割の進展を,それと不可分な居住-直接には居宅配置,間接には全生活との連関において眺めた.この揚合まず何よりも,地割・居住両者の進展それ自身の客観的描写,展開を,応分の意義あるものとした. 2. そのため,図面を多用し,資料はなるべくそのなかに織込み,図主文従の形をとり,解説の紙面は最小限にした(地理学における地図の価値・活用は,もつと強調されてよいと思う). 3. 説明に当つては,次の点を考慮した.地割も居宅配置も,あくまで時の函数として進展する.その時は,たとえば両者に,いかなる年齢的行動をとらせているのか?それは,具体的にいつて,どのようなものが,どんな速さで,どのように変つてゆくのか?場所や,時代や,その他多勢は,その際,どんな役割を演ずるのか? 4. 実例としては,次の7つをとつた(括弧内は観察期間). a. 南米PampaのPirovano農場 (1875-1930). b. 北満克山県第172号井 (1913-1935). c. 北海道芽室原野の上伏古 (1910-1955). d. 武蔵野の上富村 (1696-1954). e. その2隣村北永井と藤久保(特定期聞なし). f. 北海道旧美唄兵村 (1892-1954). g. 夜見浜の旧富益村(特定期間なし). 5. これらのうちでは,上富がその資料と価値とから,主動となつているが,他のものもこれを助けて,問題点の客観化による理解に役立てられている.