著者
井上 充夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.61, pp.127-133, 1959-03-25

わが国における墓廟的性格の建築には、墓堂・御影堂・法華堂など、各種の名称をもつものがあつたが、それらには宝形造りのものが比較的多かつたことが、遺構その他から推察される。これらの各種の代表例について、その建築目的・形式・用い方などを吟味すると、これらの建築は一般に、墓そのものと同じく礼拝の対象となり、かつその内部は物故者のための占有空間の性格をもらていたことがわかる。そしてそれらの多くが宝形造りの形式をとつたのは、塔婆の場合と同じく、対称性の強い形態が人格の表現に適したからであることを論ずる。

1 0 0 0 OA 双堂への疑問

著者
井上 充夫
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.28-39, 1988 (Released:2019-01-24)
著者
井上 充夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.581-584, 1958

飛鳥・奈良時代を中心とする古代の門に関する記載をみると、それらがしばしば、単なる通路空間として以外の用途に供せられていることを知る。たとえば宮殿の門が行事の際の天皇の座所となり、寺院・神社の門が礼拝の場所として用いられる等である。このような特殊性は、垣や廻廊で囲まれた内部の空間と、外部の空間とが質的に相異することからくるのであつて、これが両者の接触点をなす門に、特殊な機能を要求すると同時に、造形的にも後世の門とやや違つた特色を賦与したことを論ずる。