- 著者
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藤原 悌三
井上 隆二
日下部 馨
大場 新太郎
北原 昭男
鈴木 祥之
俣野 善治
鎌田 輝男
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1995
地震観測は従来から主として高層建物や長大橋梁など特殊な目的のために行われることが多かったが、兵庫県南部地震では必ずしも十分活用可能な観測波は得られなかったのが実状である。本研究では京都市域の地形・地質を考慮した10点に鉛直アレー観測を実施するため、観測システムを各区の消防署に分散配置した。観測網は、地中・地表・建物内部に地震計が設置された防災研究所の観測地点10箇所と京都市が行っている地表の観測地点4箇所、で構成されており、宇治の露出岩盤と見られる貴撰山発電所と防災研究所の観測も含まれている。これらの地点の記録波形はISDN回線を通じて自動的に地震計の自己診断、データ転送され、キ-ステーションの一つ防災研究所では、震源特性と地盤震動、地盤-建物相互作用、構造物の応答性状、設計用地震動評価、都市域の地震被害想定など高範囲の研究を行ってきた。一方のキ-ステーションである京都市消防局では発災直後の緊急対策に有効利用するよう努力が続けられている。本観測システムで得た京都南部の地震と愛知県東部の地震による波形を分析した結果によると、遠地地震では京都市域全域の表層地動が似ており長周期成分が卓越しているが、近地地震では表層の地盤特性を反映して各観測点の表層加速度が大きく異なり、そのため構造物によっては高次モードが卓越する場合があること、地表と地中のスペクトル比、構造物頂部と地表のスペクトル比より、表層地盤の動特性、構造物の動特性が明らかになり、電源位置と地表規模の決定からリアルタイムに京都市域の被害想定を行える可能性があること、構造物のモデル化の際の高次の減衰評価手法に留意する必要のあることなどを明らかにした。また、兵庫県南部地震による京阪神の観測結果から、地盤と構造物の相互作用、杭と地盤の相互作用、地盤の液状化解析手法などについても有為な知見を得ている。