著者
森田 泰弘 井元 隆行 徳留 真一郎 大塚 浩仁
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.59, no.695, pp.371-377, 2011-12-05
被引用文献数
1

イプシロンロケットの目的は,小型衛星に対して即応性豊かな打ち上げシステム,すなわち自在性と機動性に富みユーザーフレンドリな輸送手段を構築,宇宙への敷居を下げて宇宙科学や宇宙利用の裾野を拡大することにある.一方,これを輸送系の視点でみると,打ち上げシステムの革新というひと言に尽きる.すなわち,今後のロケット開発にあたっては,射場設備と運用はもとより,製造プロセスから搭載系に至るまで,およそロケットの打ち上げに必要な設備や運用をとことんコンパクトで身軽なものにしていこう,それが未来への扉を開く鍵であるという理念である.イプシロンロケットでは,このような壮大なビジョンを実現する第一歩として,ロケットのインテリジェント化やモバイル管制などの超革新技術を開拓,これを世界に先駆けて実証するために,初号機を2013年度に打ち上げる計画である.