著者
井内 祥人 岡 勝 寺本 行芳
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.45-54, 2016-01-31

奄美大島では1960年から鹿児島県により林道が建設されているが,梅雨,台風などの大雨により毎年,林道災害を受けている。特に2010年10月に記録的大雨が発生し,24路線58か所の林道災害が発生し道路やライフラインに甚大な被害を与えた(2010奄美豪雨)。奄美大島における過去に開設された林道の施設災害状況を調査するとともに,2010奄美豪雨による災害状況を分析した。その結果,1)施設災害の80%以上が切土法面の災害であること,2)林道開設終了年から約15年経過した1995年付近で林道施設の災害頻度に大きな変化が見られることを見出した。その要因として,林道施設の設計変更の影響が示唆された。次に,崩壊土量に及ぼす諸要因の影響を数量化I類で分析した結果,地質,集水面積,斜面形状,縦断勾配,斜面方位の順に高い影響を及ぼすことが判明した。2012年6月から9月にかけて奄美大島で発生した豪雨災害に適用した結果,高い有意性が明らかとなった。