著者
田中 利雄 岡崎 直人 五味 勝也 今野 宏 井出 光彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.274-278, 1984-04-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

清酒中のアミノ酸量を減少させる目的で, 低ACPase生産性麹菌の造成を紫外線照射により試みた。ACPase力価の低い菌が蒸米上での発芽が遅れることに着目し, スクリーニングした結果, 2株の低ACPase生産性変異株を分離した。このうち333-A株は蒸米上での生育も胞子着生能も悪く実用的でなかったが, 333-B株は生育も胞子着生能も良好であった。333-B株を使用した製麹では状貌が遅れ気味であったが, 製麹時間を48時間とし, 対照の市販種麹を使用した麹に比べ, ACPaseは著しく低いが, GAaseは高いという目的にかなう麹が得られた。また変異株の麹によるもろみは, 順調に発酵し, もろみ中のアミノ酸は, 対照もろみの1/2の量で推移した。生成酒はアミノ酸が少なくきれいな軽いタイプの酒質であり, 変異株の特徴が生かされたものと考えられた。