著者
井出 孝介 今村 修
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.234_1, 2018

<p> 2015年に起きた電通社員の過労死自殺を発端として、労働問題が近年、注目されている。それは教育現場においても同様であり、部活動を含む教員の労働環境も深刻化している。一方で、高等学校学習指導要領では、科目保健において「労働と健康」を扱っている。すなわち、教員は自らの労働問題を抱えながらも、生徒に労働と健康に関する学習を提供する使命を有しているのである。以上の観点から、本研究では、教員を志望する大学生の職業観および労働意識の特徴について明らかにすることを目的とした。本研究においては、「職業観」を「労働の意味付け」と定義し、佐藤らが提案した労働動機尺度を参考として自記式質問紙を作成した。2017年12月に、T大学に在籍する学生を対象として1150部配布し、1088部を回収した。そのうち、有効回答部数は1010部(87.9%)であった。分析方法は、単純集計、クロス集計、カイ二乗検定を用いた。その結果、教員志望者は、一般企業志望者と比較すると「やりがい第一」の割合が高い傾向であることが認められた。このように教員志望者は、過重労働に陥りやすい労働意識を潜在的に抱えていると推測される。</p>