著者
林 愛明 井宮 裕 宇田 進一 三沢 隆治
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.41-46, 1995-04-10
被引用文献数
2 1

1995年1月17目午前5時46分に発生した兵庫県南都地震により、死者、行方不明者5、000人を超え、倒壊した家屋10万戸以上という、1923年の関東大震災以来の大惨事となった。17日早朝のテレビでの放送によるこの地震による被害の程度については、スピーカーが落ちて怪我をした程度とか、家屋が揺れて瓦が落ちている程度というものであった。しかし、我々は、この時点で震源が20kmと浅いことと、マグニチュードが7.2(1月17日気象庁発表)と大きいことから、震源地である淡路島もしくは六甲山麓の活断層が活動したに違いないと確信し、すぐに淡路島などの調査を行った。そして、主に地表地震断層およびこれに関連する構造物の被害調査を実施した。調査に際して、北淡町役場発行の1万分の1地形図を用いて、楠本断層、志筑断層および野島断層(図-1)沿いに追跡した。その結果、淡路島北東部の楠本断層、北西走向の志筑断層沿いには地表地震断層は確認されなかったが、北西部の野島断層沿いには多くの地点で地表地震断層が確認できた。しかし、富島より南西部には、上記野島断層延長線沿いには今回の地震に伴う断層変位を確認することができなかったが、海岸近くで地表地震断層を追跡でき、この結果を断層位置分布図として作成した(図-1)。