著者
林 愛明 宇田 進一
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.160-171, 1996-08-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24
被引用文献数
5 6

We propose a tectonic model associated with formation of the Akashi strait. The epicentral distribution of aftershocks and geodetic data show that the earthquake rupturing occurred not only along the Nojima Earthquake Fault and the Rokko Fault Zone striking NE-SW, but also occurred along the faults striking NW-SE in the Akashi strait. The earthquake surface ruptures striking NW-SE and NE-SW were also found in the northwestern end area of Awaji Island. The vertical displacements along these surface ruptures and the GPS data measured on the piers of Akashi strait bridge indicate that the central part of the Akashi strait subsided a few tens of cm among the 1995 Southern Hyogo Prefecture Earthquake. Based on these data, we show that the Akashi strait is a pulling-apart area between the right-lateral strike-slip faults of the Rokko Fault Zone and the Nojima Earthquake Fault, and that the Rokko-Awaji mountains are the areas showing the character of pressure ridge formed by pushing-up.
著者
林 愛明 宇田 進一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.XXIII-XXIV, 1997 (Released:2010-12-14)
参考文献数
5

テクタイトは地表に産する黒曜石に類似した天然のガラス質物質であり, 中国では, 紀元十世紀の唐の時代にすでに詳しく記載されており, “雷公墨”と名付けられている(李, 1963). テクタイトは, オーストラリア, 北米, 東南アジア, アフリカ北部, チェコスロバキアなどに分布している(Glass, 1990). テクタイトの成因については, 巨大隕石の衝突に伴い地表の岩石が熔融して形成されたという地球成因説(Glass, 1990)と, 月表面の火山物質(または宇宙物質)が隕石の衝突で飛散し, 地球に飛来したという月(または宇宙)成因説(O'keefe, 1976)などがあるが, いずれも成因を衝突熔融に求めている点では共通している. テクタイトの化学組成は地球物質起源のものが多いことから, 前者の説が有力になりつつある. 今回紹介する海南島のテクタイトの産地には, 不規則な割れ目の発達した砂岩中にシュードタキライトも発見されている(第10, 11図). この地点の周辺に明瞭な断層が存在していないことと隕石坑が存在していることから, このシュードタキライトはテクタイトとともに隕石衝突熔融によるものと考えられる.中国海南島に産するテクタイトは Hainanite と命名されている(李, 1963). そのフィッショントラック年代は約70万年であり, 東南アジアおよびオーストラリア産のテクタイトの年代とほぼ一致している(厳ほか, 1979). このテクタイトの産出層は海南島およびその周辺地域の第四系および古地形面の形成時代の鍵層として利用されている.
著者
林 愛明 井宮 裕 宇田 進一 三沢 隆治
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.41-46, 1995-04-10
被引用文献数
2 1

1995年1月17目午前5時46分に発生した兵庫県南都地震により、死者、行方不明者5、000人を超え、倒壊した家屋10万戸以上という、1923年の関東大震災以来の大惨事となった。17日早朝のテレビでの放送によるこの地震による被害の程度については、スピーカーが落ちて怪我をした程度とか、家屋が揺れて瓦が落ちている程度というものであった。しかし、我々は、この時点で震源が20kmと浅いことと、マグニチュードが7.2(1月17日気象庁発表)と大きいことから、震源地である淡路島もしくは六甲山麓の活断層が活動したに違いないと確信し、すぐに淡路島などの調査を行った。そして、主に地表地震断層およびこれに関連する構造物の被害調査を実施した。調査に際して、北淡町役場発行の1万分の1地形図を用いて、楠本断層、志筑断層および野島断層(図-1)沿いに追跡した。その結果、淡路島北東部の楠本断層、北西走向の志筑断層沿いには地表地震断層は確認されなかったが、北西部の野島断層沿いには多くの地点で地表地震断層が確認できた。しかし、富島より南西部には、上記野島断層延長線沿いには今回の地震に伴う断層変位を確認することができなかったが、海岸近くで地表地震断層を追跡でき、この結果を断層位置分布図として作成した(図-1)。