著者
中静 透 井崎 淳平 松井 淳 長池 卓男
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.171-178, 2000-05-16
参考文献数
13
被引用文献数
2

秋田県象潟町の鳥海山麓にある「あがりこ」樹型をもったブナの優占する森林の成因を,過去の空中写真,森林構造および年輪解析を調べることにより明らかにした。1997年の現地調査から,最高で地上約4mの位置から最大11本の萌芽幹をもつ株が観察されるブナ林で,個体サイズ分布(萌芽幹の胸高断面積の合計から推定)は,かなり発達した森林であることがわかったが,萌芽幹のサイズ分布は小径に偏っていた。1985年の空中写真では閉鎖林であるが,1961年では漸伐林に近い構造をもつ森林として映っていた。年輪の解析からは,森林全体でも,個体の中でも20~40年の周期で萌芽幹が発生していることが示唆された。以上のことから,この「あがりこ」ブナ林は,一度の伐採で個体当り1~数本の萌芽幹を残しながら雪上伐採されることにより形成されたと推定した。この作業は,ブナの萌芽生理からも理にかなっていると考えられた。