著者
田村 匡嗣 小川 幸春 井川 憲明
出版者
千葉大学園芸学部
雑誌
食と緑の科学 (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
no.64, pp.19-23, 2010-03

ブラックチョコレート作製におけるより好ましいカカオバター量の割合や適切なヤシ油の添加割合を検討した。カカオバター量を調製した6条件(30.3から49.2%)、およびヤシ油を添加した2条件(0.5%、 1.0%)に対し粘度、破断エネルギ、色差の物理的測定と官能検査を行った。物理的測定の結果はカカオバター量の割合により大きく変化し、色彩に対する官能検査ではカカオバター量割合37.0%の試料が他と比較して有意に好まれた。口どけ、歯応えに対する官能試験の結果に顕著な差はみられなかったが、37.0%の試料が比較的好まれる傾向を示した。以上の結果を踏まえてカカオバター量割合37.0%の試料を基準にヤシ油の添加割合を変えて試料を試作した。ヤシ油添加試料の口どけ、歯応えに対する官能検査の結果に有意差はみられなかったが、口どけは添加量が多いほど好まれる傾向がみられた。色彩はヤシ油を添加した試料の方が有意に好まれた。以上より、ヤシ油はカカオバターの代用油脂となるだけではなく、0.5から1.0%程度添加することでチョコレートの食感を向上させ得ることが示唆された。