著者
加藤 征江 永田 佳子 井川 明美
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.39-46, 1992-02-20
被引用文献数
2

塩味および甘味に対する味覚意識(味の鋭敏さ、味の濃淡の好み)と食物嗜好の関連を探るため、226人の学生に対して調査した。学生を食物教育の有無および性により、家庭専攻女子学生群と他領域専攻の一般女子学生群、一般男子学生群の3群に分けて検討した。その結果、1.味覚意識および食物嗜好に対する食教育の影響については、家庭専攻女子学生群は一般男女学生群に比べて、塩味に対しては薄味を好み、塩味の食物を好まなかった。それらに対する性の影響については、男子学生群は女子学生群よりも味に対して鋭敏であるとの意識をもち、一方、女子学生群は男子学生群よりも薄い塩味を好み、そして甘い食物を好んだ。2.3群ともに、塩味の濃淡の好みと塩味の食物の嗜好とは有意に順相関を示した。すなわち、塩味の食物を好む学生はそうでない学生に比べ、より濃い塩味を好んだ。これと同様の関係は、甘味と甘味の食物との間にも有意に見られた。3.2女子学生群においては、塩味の鋭敏さの意識と塩味の濃淡の好みとの間、および塩味の鋭敏さの意識と塩味の食物の嗜好との間に、それぞれ有意に逆相関が見られた。すなわち塩味に鋭敏であると意識している人程、薄味の塩味を好み、塩味の食物を有意に好まなかった。一方、甘味については、一般女子学生群において、そのような傾向が見られた。