著者
井手口 裕太 大野 善之 石坂 一久
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2020-HPC-173, no.15, pp.1-6, 2020-03-09

Top-N 推薦のための高精度かつ高速なアルゴリズムである SLIM のベクトル演算を用いた高速化手法を提案する.Top-N 推薦は,過去の購入履歴などを学習することでユーザーに推薦するアイテムを決定する問題であるが,膨大なデータを利用する学習時間の短縮が求めらている.SLIM はスレッド並列化が考慮されたアルゴリズムであるが,高性能ベクトルコンピュータ SX-Aurora TSUBASA で高速化するには,効率的なベクトル演算手法を開発する必要があった.本稿では,SLIM の主要処理に対するベクトル演算手法を提案し,SX-Aurora を用いた高速化を可能とする.Top-N 推薦でよく利用される MovieLens データセットを用いた評価では,提案する SX-Aurora を用いた SLIM は,2 ソケット Xeon に比べて 3.3 倍の高速であることを確認した.
著者
西山 由加李 泉田 久美子 木下 美佐栄 古屋 伴子 吉浦 洋子 川島 博信 松永 彰 井手口 裕 田久保 智子 迫田 岩根 友成 洋子 佐藤 博行 清川 博之 田中 光信 高橋 順子 谷 慶彦
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.267-273, 2011 (Released:2011-09-09)
参考文献数
29
被引用文献数
1

58歳男性.脳出血のため当院救命救急センターを受診した.入院時,AutoVue Innova®のカラム遠心凝集法によるRh血液型検査で抗Dの反応が(3+)と通常より弱く,weak Dまたはpartial Dが疑われた.各種市販抗D試薬およびエピトープ特異的抗Dモノクローナル抗体を用いた精査では,partial DのカテゴリーDBTとほぼ同様の反応パターンを示した.Polymerase chain reaction-sequence specific primers法によるRHD遺伝子解析ではexon 5,6および7の増幅が認められず,更にcDNAのRHD遺伝子領域を直接シーケンス法にて分析したところ,RHD遺伝子のexon 5,6および7がRHCE遺伝子のexon 5,6および7に置換していることが確認された.以上より,本例は本邦でも珍しいpartial DのDBT-1(RHD-CE(5-7)-D)と同定された. カラム遠心凝集法での抗Dの反応は,試験管法に比べ強く反応することが多いので,カラム遠心凝集法で(3+)以下の凝集を示す場合は,weak Dやpartial Dの可能性を念頭におく必要がある.