著者
中野 節子 今井 美智子 小金丸 智子 原 邦子 上田 信子 堤 康英 大山 正則 入田 美子 清川 博之 前田 義章
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.612-616, 1995 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8

Three apheresis systems (COBE Sprectra, Fenwal CS-3000 plus and Haemonetics MCS) were compared with regard to white cell (WBC) content (n=9 each) in the apheresis chamber on plateletpheresis of 10 units (range, 2-3×1011). Average WBC content in the residual blood in Sprectra, CS-3000 plus and MCS was 6.65×108 (70% of lymphocytes), 3.98×108 (77% of lymphocytes) and 2.21×108 (41% of lymphocytes) WBCs, respectively.Apheresis donors experiencing 12 plateletpheresis procedures per year, the maximum allowed, will sustain a 56.4×108 lymphocyte loss when Spectra, designoed to collect WBC-poor platelet concentrates, is used.The annual loss of lymphocytes in males and females would be 2.5 and 3.7 times, that by whole blood donation. Recently developed respectively, cell separators have been improved to decrease WBC contamination. However, close attention should be paid to WBC content in residual blood in the apheresis chamber.
著者
山﨑 久義 伊佐 和美 小笠原 健一 渡邉 聖司 迫田 岩根 入田 和男 清川 博之
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.601-605, 2016
被引用文献数
1

<p>ABO血液型亜型で日本人に最も多く認められるB<sub>m</sub>型とAB<sub>m</sub>型は,<i>B</i>遺伝子イントロン1の部分欠失により生じることが報告された.この欠失は5.8kbにおよび,GATA結合部位を有する転写エンハンサー領域が含まれる.一方,GATA>GAGAの点変異で生じたと考えられるB<sub>m</sub>型も1例報告されているが,この変異と唾液中の型物質との関係は不明である.</p><p>今回,合計49例のB<sub>m</sub>型とAB<sub>m</sub>型を解析した結果,5.8kbの欠失がない1例を認めた.エンハンサー領域を調べた結果,2つのGATAモチーフのうち3'側のGATAモチーフにGATA>GAGA変異が認められた.発端者は,オモテ検査O型,ウラ検査B型で,抗B試薬による吸着解離試験でB抗原が確認された.血漿中のB型糖転移酵素活性はほぼ対照のB型と同程度で,唾液中にはB型とH型物質が認められ,Lewis血液型はLe(a-b+)であった.以上の結果よりエンハンサー領域にGATA>GAGA変異を生じた本邦初の分泌型B<sub>m</sub>と判定した.この変異は,赤血球B抗原の発現を低下させるが,唾液中のB型物質には影響しないことが確認された.</p>
著者
西山 由加李 泉田 久美子 木下 美佐栄 古屋 伴子 吉浦 洋子 川島 博信 松永 彰 井手口 裕 田久保 智子 迫田 岩根 友成 洋子 佐藤 博行 清川 博之 田中 光信 高橋 順子 谷 慶彦
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.267-273, 2011 (Released:2011-09-09)
参考文献数
29
被引用文献数
1

58歳男性.脳出血のため当院救命救急センターを受診した.入院時,AutoVue Innova®のカラム遠心凝集法によるRh血液型検査で抗Dの反応が(3+)と通常より弱く,weak Dまたはpartial Dが疑われた.各種市販抗D試薬およびエピトープ特異的抗Dモノクローナル抗体を用いた精査では,partial DのカテゴリーDBTとほぼ同様の反応パターンを示した.Polymerase chain reaction-sequence specific primers法によるRHD遺伝子解析ではexon 5,6および7の増幅が認められず,更にcDNAのRHD遺伝子領域を直接シーケンス法にて分析したところ,RHD遺伝子のexon 5,6および7がRHCE遺伝子のexon 5,6および7に置換していることが確認された.以上より,本例は本邦でも珍しいpartial DのDBT-1(RHD-CE(5-7)-D)と同定された. カラム遠心凝集法での抗Dの反応は,試験管法に比べ強く反応することが多いので,カラム遠心凝集法で(3+)以下の凝集を示す場合は,weak Dやpartial Dの可能性を念頭におく必要がある.
著者
相良 康子 後藤 信代 井上 由紀子 守田 麻衣子 倉光 球 大隈 和 浜口 功 入田 和男 清川 博之
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.18-24, 2014-02-28 (Released:2014-03-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

本邦におけるHTLV-1感染者は108万人と推計されており,HTLV-1は成人T細胞性白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)といった重篤な疾患の原因として知られている.日本赤十字社血液センターでの抗HTLV-1抗体の確認検査としては,2012年9月よりウエスタンブロット(WB)法が採用され,検査結果の通知を希望される献血者への通知に際しての判定基準となっている.しかしながら,WB法では判定保留例が多く確定に至らない事例が蓄積されている.今回,我々はWB法における判定保留事例を対象として,複数の方法による抗体検出ならびにHTLV-1プロウイルス(PV)検出を試み,性状解析を行った.その結果,WB法判定保留事例239例中89例(37.2%)でHTLV-1 PVが検出されたが,そのうち4例は化学発光酵素免疫測定(CLEIA)法で,また2例は化学発光免疫測定(CLIA)法で陰性を示した.また,PV陰性150例中19例(12.7%)では複数の抗体検出系で特異抗体が認められたことから,末梢血中のPVが検出限界以下を示すキャリアの存在が示唆され,精確なキャリア確定判定のための抗原同定と検査系確立を要すると考える.